臨床検査技師は給料が低く、休みも少ない。
業務は永遠と同じ作業の繰り返し。
勤務時間内は持ち場に拘束されて自由時間もない。
病院内での肩身は狭く、上司は率先して雑用を引き受けてくる。
臨床検査技師は責任重大な業務を多数こなしているにも関わらず、医療職の中でも年収が異常に低い。
年収を高めるために認定技師や専門性の高い資格を取得しても昇給額はすずめの涙。労力に対してリターンが全く見合いません。
結論からいうと、あなたの年齢が20代〜30代中半なら臨床検査技師からでもヘルスケア業界の企業に必ず転職できます。
根拠は、実際に私が臨床検査技師を20代前半で辞めてから32歳までの間にヘルスケア業界の企業に4度転職できたからです。
この記事では、私が経験した職種を含め臨床検査技師から転職できるヘルスケア業界企業の転職先を5つご紹介します。
- 不妊クリニックの胚培養士
- 治験施設支援機関の治験コーディネーター(CRC)
- 医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリスト
- 製薬メーカーのメディカルアフェアーズ(MA)
- 企業の研究職
各職種の業務内容や臨床検査技師から転職するメリット・デメリットを知りたい方は、この記事をチェックして転職先探しの参考にしてみてください。
なお、上記求人の詳細を具体的に知りたい方は転職サイト『DODA』が網羅的に情報を収集できるためおすすめです。
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臨床検査技師から企業に転職するメリット・デメリット
転職先の詳細を紹介する前に、臨床検査技師から一般企業に転職するメリット・デメリットを再度確認しておきましょう。
短期間で年収が大幅アップできる可能性がある
『営利型法人』と再分配してくれない『非営利型法人』が存在します。病院は後者なので利益が出ても従業員に還元してくれることはなく、短期間で年収が大幅にアップすることはありません。一方、企業は前者に該当するため、利益や個人の成績に応じた報酬を支払ってくれます。そのため、短期間で年収が大幅にアップできる可能性があります。
世の中には利益を社員に再分配してくれる週休2日になる・当直が無くなる
完全週休2日制。日立製作所など一部の企業は週休3日制導入していたりします。土曜日の半日出勤が発生しないため週末は自分の時間を楽しめます。また、就業時間が過ぎてからの新規業務は原則受け付けないため、当直などの夜間業務はありません。
一般企業は基本的には自由な時間が増える
一般企業は働き方の自由度が高く、業務時間内であっても自由に使える時間が多くあります。医療機関のように、昼休憩以外は持ち場に拘束なんてことはありません。
フレックス制度・テレワーク・直行直帰など、年収の変動が大きくなる
成果主義。そのため自身の評価・会社の業績次第では毎年の年収が50〜100万円程度変動する可能性があります。また、会社からの評価が著しく低い場合はボーナスカットや基本給が下がるリスクがあることも無視できないデメリットです。
一般企業は年功序列ではなくパソコン作業が多くなる
パソコン作業が必ず発生するため、慣れるまでは頭痛・肩こりに悩まされることもあります。
報告書の作成、データまとめ、社内日報、スケジュール管理、メール対応・・・一般企業に転職すると17時以降の業務時間が増える
企業に転職すると定時で帰れる日は少ないです。特にヘルスケア業界企業の場合は顧客(医療従事者)の手が空く時間が夕方以降になるため17時以降の作業が増えます。ただし、フレックス制度の適用で当日や翌日の出社時間を調整して残業時間をコントロールできるため、月間の残業時間は多くても40時間程度です。
繁忙期・閑散期にもよりますが、一般企業に転職すると年収は確実に高くなります。(20代後半で500万円程度)
ただし、17時以降の業務時間が増えるため、アフター5を楽しみたい方はややストレスを感じることが増えるかもしれません。
臨床検査技師から企業に転職するのが向いている人・向いていない人
上述したメリット・デメリットを踏まえて、臨床検査技師から企業に転職するのが向いている人・向いていない人の特徴を解説します。
臨床検査技師が退屈でつまらないと感じている人
常に新しい業務にチャレンジできるため、同じことを繰り返してつまらないと感じることはありません。また、体を使う肉体労働より頭を使う頭脳労働が中心になるため、難解な問題を分析・推理して解決するという刺激的なミッションがあなたを待っています。
同じ作業を淡々とこなすだけの毎日につまらなさやストレスを感じているなら企業への転職はおすすめ。企業に転職すると成果に応じて適切な報酬を得たい人
自分の頑張りを報酬に反映させたいと考えている人は、医療機関ではなく企業で働くべきです。
企業は成果に応じた報酬が支払われる成果主義社会。業務スケジュールを自分でコントロールしたい人
全て自分で管理・決定できるため、誰に指図されることもなく自分の好きなように働けます。
決められた場所で決められた時間、決められた作業をこなすことに不満を感じているなら企業へ転職すべきです。企業はいつ・どこで・どんな業務を実施するのかをアフター5を大切にしたい人
17時以降は働きたくない・毎日定時で帰りたいと考えている人には企業は向いていません。
企業は日中の時間は比較的自由に使えますが、17時以降は顧客対応でバタバタすることが多くなります。そのため、帰宅時間が20時を過ぎることは普通で、遅い時だと日をまたぐことも。給料が下がるリスクを取りたくない人
年収が下がるリスクは取れないという人は企業への転職はやめておいた方が良いでしょう。
企業社員の給料・年収は毎年の人事評価の結果次第で昇降します。評価が良ければ年収は上がりますが、評価が悪ければ年収が下がるため、仕事は指示通りにこなしたい人
自発的にすることが苦手な人は企業への転職は向いていません。企業に転職すると会社から与えられるのはタスクだけ。タスクの片付け方ややり方を誰かが一から十まで丁寧に教えてくれることはないため、指示待ち傾向の人はかなりストレスを感じることになります。
課題の抽出や対策の立案・実行を臨床検査技師から転職できるおすすめの他職種
- 不妊クリニックの胚培養士
- 治験施設支援機関の治験コーディネーター(CRC)
- 医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリスト
- 製薬メーカーのメディカルアフェアーズ(MA)
- 企業の研究職
不妊クリニックの胚培養士
胚培養士は不妊クリニックの培養室で受精卵を培養し、ある程度育った状態の受精卵を患者さんの子宮へ戻す業務の補助を行います。
クリニックによって培養業務のみを行うこともあれば、採血・血液検査等の培養業務以外の業務を兼任することもあります。
患者から採取した『卵子』と『精子』を体外で受精させ『受精卵』を作成し、患者の体内へ戻せる状態まで培養・分化させること。
- 血液検査
- 各種ホルモン値の測定業務
- 精液検査
- 形状、運動率、数の測定
- 培養業務
- 受精卵の作成、培養、凍結
- インフォームド・コンセント(IC)
- 高度生殖補助医療(体外受精)の治療内容説明、患者さんからの同意取得
- 体外受精補助業務
- 採卵の補助、胚移植の補助、精液の前処理、凍結胚の融解
- 未経験から胚培養士に転職する場合
- 平均年収は280万円〜350万円
- 不妊領域の知識が深くなる
- 胚培養士は受精卵の培養がメインとはいえ、不妊クリニックに在籍する以上は治療の一連の流れや使用薬剤の知識習得は必須です。座学ではなく実臨床からリアルな知識が習得できるため、不妊で悩む身内や知り合いに専門的なアドバイスができるようになります。
- 臨床(患者さん)との距離が近くなる
- 採卵前の説明や採卵後の受精卵の発育状況の報告など、実は患者さんと接する機会が多いのが胚培養士。患者さんが喜ぶ姿を目の当たりにすると胚培養士になって良かったと強くやりがいを感じます。
- 手に職がつく
- 細胞培養に分類されます。細胞培養は研究機関・製薬企業の研究開発業務にも応用できるため、自身の市場価値が高まる技術が身に付きます。 受精卵の培養は広義的には
- 勤務時間のイレギュラーが発生する
- 個人クリニックでは大型病院との差別化を図るために、夜間や祝日も診療している場合があります。そのため勤務時間が夜にシフトするケースがあります。また、受精卵の発育状況次第では休日に出勤して培地交換を実施することもあります。
- IC業務は慣れるまでストレスを感じる
- 治療内容を直接患者さんに説明するICは、慣れるまでかなり緊張します。また、治療に対する不安や疑問も患者さん個々で異なるため、どんな質問が出るのか・その質問に回答できるのか、と毎回プレッシャーがかかります。
- 今後、不妊治療のマーケットは縮小する可能性が高い
- 2022年4月に施行された不妊治療の保険適応開始に伴い短期的に患者数の増加が見込まれますが、女性の社会進出の増加・人口の絶対数の減少に伴い、長期的には不妊市場は縮小することが見込まれます。
- 人に説明するのが得意な人
- 不妊治療の柱となる情報を説明します。そのため、相手が分かりやすく・理解しやすい言葉を選択して伝わるように話すスキルが重要不可欠です。 ICや受精卵の発育状況の報告など、素人の患者さんに
- 『細胞培養スキル』を身につけたい人
- 未経験不可のことが多いため、大学で細胞培養に触れなかった人はヒト細胞、かつ実践という緊張感がある環境でスキルを磨けます。 『細胞培養』というスキル身につけることで、今後のキャリアの選択肢が広がります。企業の細胞培養職は
- 細かい作業が得意な人
- 約160μm、ちょうど髪の毛3本ほ重ねた程度の大きさです。そんな小さな物体を顕微鏡を使って培地へ移動させたり凍結したりするため、細かい作業が得意でなければ務まりません。また、ICSI(顕微受精:卵子に直接針を刺して精子を注入する技術)は顕微鏡ガイド化とはいえ非常に神経を使う作業なので、手先が器用な人でも最初は戸惑ってしまいます。 卵子の直径は
- 人に説明するのが苦手な人
- ICや受精卵の発育状況説明など、直接患者さんに説明することが多い胚培養士。人に説明するが苦手な人は日々の業務で消耗することになります。
- 細かい作業が苦手・やりたくない人
- 上述の通り、卵子のサイズは直径160μm程度。こんな小さな物体は少しの衝撃ですぐにどこかへ飛んでいってしまいます。一度でも顕微鏡の視野から消えたら最後、二度と見つかることはありません。
- 患者さんのために自分を犠牲にできない人
- 受精卵を育てるためにも、栄養となる培地の交換は土日でも実施しなければなりません。休日出勤時の作業時間は多く見積もっても2時間程度ですが、休みの日も定期的に出勤することが嫌な人は胚培養士への転職はおすすめできません。
胚培養士の詳細は【体験談】胚培養士への転職|年収・メリデリ・将来性・向いてる人を解説で説明しているので興味がある方はチェックしてみてください。
治験施設支援機構の治験コーディネーター(CRC)
製薬会社、医療機関、臨床開発モニター(CRA)と協働して治験業務のサポートを行います。
病院を受診する患者に治験薬を投与して、新薬の有効性や安全性データを収集する業務の補助を行うこと。
- 治験開始前
- 同意説明文書作成補助
- 治験実施に必要なトレーニング
- スタートアップミーティングへの参加
- 治験資材の入手・作成
- 治験実施施設との調整・連絡
- 治験実施中
- 被験者的確性確認の補助
- 治験スケジュール管理
- 有害事象・重篤な有害事象への対応
- 同意説明補助
- 症例報告書作成補助
- モニタリング・直接閲覧の対応
- 治験終了時
- 未使用治験資材の整理・返却
- 保管書類の整理
- 終了報告書の作成補助
- 監査・実地調査の対応
- 未経験からCRCに転職する場合
- 平均年収は470.8万円
- 複数の職種と一緒に仕事ができる
- 医師を筆頭に看護師・薬剤師・各種技師・院内CRC・事務などの病院関係者や製薬企業の担当者、CRAなどの様々な職種と連携しながら業務を進めるため、自身の考え方の幅や視野が広がり人間的に成長できます。
- ライフワークバランスを整えやすい
- 始業時間と就業時間を自由に決めれる『スーパーフレックス』、自宅から直接施設へ移動できる『直行直帰』など、働きやすい環境が整っています。業務スケジュールもある程度はコントロールが効くため、仕事とプライベートが両立できます。実際、小さな子どもがいるママがたくさん在籍しています。
- ビジネスマナーが身に付く
- CRCは社外の複数の担当者と頻繁に連絡を取るためビジネスマナーが身に付きます。また、自身が所属する会社は営利型企業であり、医療機関などの非営利型企業とは異なる社風・給与体型を体感できます。
- 自身の能力が低いと残業時間が増加する
- CRCは1つの案件を1人で担当することが多いため、準備時間や候補患者のピックアップに時間が掛かるとそのまま残業時間に跳ね返ります。
- 患者の組み入れ数が少ないと評価が下がる・年収が上がらない
- CRCは営業職ではありませんが、評価の仕組みはやや営業寄り。報酬は『治験参加人数×製薬メーカーが設定した報酬額』で決まるため、CRCが試験に患者を参加させないと報酬が得られません。担当案件の治験参加人数が少ないと自身の評価が下がるため、年収が上がりにくくなります。
- 他職種との調整業務で神経がすり減る
- CRCの主な業務は『治験に関係する複数の部署間の調整』です。例えば、腎臓内科で治験を実施する場合、治験に必要な検査の内容を検査技師に説明したり、腎臓内科の看護師さんに治験薬の投与方法やスケジュールを説明したり、薬剤部に治験薬の払い出し方法や保管方法を説明したり…こんな業務を毎日実施するため、対人業務が苦手だと強いストレスを感じてしまいます。
- 他職種と上手に交流できる人
- CRCは他部署との調整業務が非常に多い職種であり、今まで関わったことがない診療科の医師や看護師と積極的にコミュニケーションを取らなくてなりません。初対面でも臆することなく話しかけられる能力が必要です。
- マルチタスク能力・時間管理能力に自信がある人
- 治験は服薬タイミングや検査内容などのスケジュールが厳格に決められています。治験参加者が全員同じ日にスタートすることはなく、基本的に参加者毎に数日・数週間・数ヶ月のタイムラグが発生します。時間軸が異なる参加者のスケジュール管理や病院内での被験者対応を同時にこなさなくてはならないため、複数のタスクを同時進行で進められなければ業務が円滑に回りません。
- 臨床に近い場所で仕事がしたい人
- CRCは臨床検査技師と異なり、驚くほど患者・医師と近い距離で業務を行います。患者さんと一緒に診察室に入り医師の話を聞けるため、実際の医療現場を目の当たりにして仕事ができます。
- コミュ障・対人恐怖症の人
- 頑張って自分を奮い立たせれば何とか話しかけることができる。このような「人と話すことが苦手な人」はCRCには向いていません。CRCは毎日誰かに話しかける業務が発生するため、慢性的にストレスを抱えることになります。
- 複数の業務を同時に進行できない人
- 治験は試験が異なれば実施内容は大きく異なりますし、同じ試験でも来院日が変われば診察内容や検査内容が異なります。同じ日に週数の異なる参加者や別試験の参加者の対応が重なることはよく起こることで、複数の参加者の対応を同時並行でこなす必要があります。また、CRCはまとまった空き時間が発生することは少なく、タスクとタスクの合間の隙間時間を有効活用しなければ残業時間は増える一方。参加者対応の待ち時間で症例報告書を作成したり候補患者をピックアップしたり…マルチタスクでなければ務まらない職種です。
- 休日はゆっくり休みたい人
- 患者さんを試験に参加させるために『何かあれば365日24時間いつでも電話で対応するので、安心してご参加ください。』こんな決まり文句があります。CRCには仕事用の個人携帯が貸与され、携帯電話の番号を参加者に伝える義務があります。参加者からの電話は夜間休日問わずいつでも掛かってくるため、休日も会社携帯を常に気にしなければならず、気持ちが休まることがありません。
医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリスト
アプリケーションスペシャリストは医療機器メーカーに在籍する職種で、医療機器を使用する顧客に学術的なサポートを行います。
日本語では『技術営業』とも言われており、エンジニア職と営業職の中間に位置するポジションです。
後方支援により医療機器での円滑な業務をサポートし、顧客満足度を高めて自社の利益アップに貢献すること。
- 自社製品の顧客サポート業務
- 新規設置施設の運用打ち合わせ、セットアップ、データ取り
- 操作・メンテナンストレーニング
- ソフトウェアのバージョンアップ
- 製品のデモンストレーション
- データ・機器トラブル対応
- 製品・学術関連の問い合わせ対応
- 検査室の運用改善
- プレゼンテーション業務
- 製品説明会
- 疾患勉強会
- マーケティング業務
- データ分析
- 販促プランの立案

- 未経験からアプリケーションスペシャリストに転職する場合
- 平均年収は450万円〜700万円程度です。

- 頑張り次第で年収の大幅アップが狙える
- 医療機器メーカーは年功序列ではなく成果主義。自分の活躍に応じて給料が変動するため、毎年最高評価を獲得し続ければ短期間で年収が大幅にアップします。
- スケジュールは自己管理になるためライフワークバランスが整いやすい
- 会社が求めるのは結果だけ。プロセスを指定されることがないため、いつ・どこで・どれだけ働くかは全て自分でコントロールできます。更にヘルスケア業界の企業は『フレックス』『直行直帰』『テレワーク』導入済のことが多く、働きやすい労働環境が整っています。
- 上司のレベルが高く自身の考え方の幅が広がる
- 成果主義社会の影響でスキル・マネージメント能力が低い社員は降格するため、上層部や直属の上司・マネージャーのレベルが高く、相性次第では更なる高みへと引き上げてくれます。

- 長時間労働(休日出勤・深夜作業)
- 平常時は17時以降の労働時間が増える、繁忙期は休日出勤が増える、年に数回深夜作業が発生します。アプリケーションスペシャリストの顧客は医療機関で働く医療従事者。彼らは基本的に日常業務が終わる夕方以降しかメーカー対応の時間が取れません。繁忙期は年末年始、ゴールデンウィーク、シルバーウィークなどの長期連休が該当します。大型医療機器の新規設置は医療機関が休診のタイミングで行うことが暗黙の了解だからです。深夜作業は稀に発生する難解なトラブル対応時に発生します。トラブルの長期化は今後のビジネスに大きく影響するため、是が非でも翌診療日までには装置を復旧させなければなりません。
- 高ストレス
- 説明会や勉強会などのプレゼンは多くのギャラリーの前で発表するため大衆演説が苦手な人はかなりのプレッシャーです。また、気難しい顧客やトラブルが発生してご立腹の顧客対応には骨が折れることも。極めつけは、完了しても次から次へと湧いて出るタスク。期日に追われ続けると最終的には気が狂いそうになります。
- 答えが存在しない問題への取り組み
- 医療機器には機器チェックで事象が再現できず、原因がはっきり特定できないトラブルが必ず発生します。そんな問題に対して『原因を特定せよ』と顧客から指示されると、正直やれることがなくて困り果てることも。とはいえ、何か手を動かさなければ顧客は納得しないため、余計な時間とコストをかけて、ある程度の形の報告書を仕上げることになります。

- 機械の操作やデータ分析・解析が好きな人
- アプリケーションスペシャリストの業務の7割は機械の操作が伴う業務。そのため、機械を触ることが好きな方は非常に楽しめる職種です。また、医療機器で得られたデータを分析・解析して報告書にまとめる業務も頻繁に発生するため、エクセル等を駆使して数字を扱うことが好きな方も向いていると言えます。
- プレゼンテーションスキルが高い人
- アプリケーションスペシャリストは専門性の高い情報を顧客が理解できるように翻訳する能力が求められます。翻訳内容は説明する場面や相手によって多種多様。例えば、勉強会や説明会では多くの聴衆に向けて伝わる説明を、対個人ではその人が理解しやすい言葉を選んで説明する。相手の反応を見ながら話す内容をカスタマイズできる人はアプリケーションスペシャリストが向いているといえます。
- 体力に自信がある人
- 頭脳労働がメインの職種とはいえ、1日中立ち作業が続く日もあれば徹夜業務が発生することも。体力が底をついてしまっては頭が回らず作業効率は落ちる一方です。アプリケーションスペシャリストとして勤めたいなら、最低限の体力は必要不可欠です。
- アフター5を大事にしたい人
- アプリケーションスペシャリストの業務は医療機関の診療終了後に行うことが多いため、業務時間が夕方以降にシフトします。そのため、定時で帰りたい・17時以降は自分の時間を確保したいという方にはおすすめできません。
- 長期休暇は出勤したくない人
- 大型医療機器の設置はゴールデンウィークや年末年始などの連休中に行うことが一般的です。連休前半はエンジニア部隊による作業、アプリケーションスペシャリストの出番は連休後半です。毎年全ての連休が潰れる可能性は低いですが、売り上げ好調の企業ほど新規設置案件が多いため、連休が潰れる可能性は高くなります。
- 『No』と言えない人
- アプリケーションスペシャリストは顧客からの依頼事項以外にも、同僚・エンジニア・営業・マーケティング部門・テクニカルサポート部門・コールセンターなど多くの職種から業務を依頼されます。そのため、全ての業務を受け入れていると確実にパンクして、メンタルがやられるため、誰でもできる業務や断っても大丈夫そうなタスクに対して『No』と言える人でなければ長くは勤められません。
製薬メーカーのメディカルアフェアーズ(MA)
メディカルアフェアーズとは製薬メーカーに所属する職種で、医療ニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ:アンメットメディカルニーズ)を踏まえたエビデンスの創出・発信・浸透を図るとともに、患者さんや医療関係者に取って有益な情報を提供し、国内外の治療の発展と治療成績向上に貢献することを目的として活動します。
発売後の医薬品の情報収集を行い、患者さんにとってより安全でより有効性の高い薬へと育てていくこと。
- 科学的専門知識の提出及びエビデンスの創出
- 企業が発案する研究の企画・実施、医療情報データベース研究・疫学研究等の企画・実施、治験データのPost -hoc解析・メタ解析の企画・実施、研究者が発案する研究の支援・窓口業務
- メディカルプランの策定
- ギャップ分析の実施、エビデンス創出に関する戦略作成、HEOR戦略作成、パブリケーションプラン作成
- アンメットメディカルニーズの把握
- 社外医科学専門家(KOL)との医学・科学的交流、コンサルテーション、アドバイザリーボード会議の企画・実施、論文・学会情報の収集、クリニカルクエスチョン・リサーチクエスチョンの特定
- 医学・科学的情報の発信・提供
- 医療関係者等への高度な医学・科学的情報の提供、オフラベル情報の提供、論文発表・学会発表の企画・支援・実施、疾患啓発活動、学会メディカルブースの企画・実施、社内メディカル教育の実施、販売情報提供活動の資材等の医学・科学的レビュー
- 未経験からメディカルアフェアーズに転職する場合
- 平均年収は450万円〜1000万円以上です。
- 医薬品に対する深い知識が身に付く
- KOL(キーオピニオンリーダー)との繋がりが持てる
- 論文に自分の名前を載せてもらえることがある
- 臨床検査技師の経験がほぼ活かせない
- 論文を相当数読み込まなければ課題抽出が難しい
- 業務の難易度が高い
- 育薬研究に興味がある人
- 既に販売されている医薬品の効果を高めて、患者さんにより良い医療を提供することに貢献できます。
- 原因が解明できない疾患を医薬品の視点から解明したい人
- 自己免疫性疾患・膠原病など、発症のメカニズムが不明な疾患はまだまだ多く存在します。そんな疾患に対して、医薬品の作用機序から逆算して原因特定に結びつくケースもあるため、病気の解明に貢献できます。
- 実践的な研究をしたい人
- メディカルアフェアーズが担当する医薬品は既に発売されており実際に患者さんにも投与されているもの。創薬などの治験段階のフェーズではなく、多く患者さんからリアルな情報が得られるフェーズにあるため、『実際の医療』に貢献できる研究を担当できます。
- 薬理学に興味がない人
- メディカルアフェアーズは疾患の発症メカニズムと医薬品の作用機序の両方を熟知しなければ務まらないため、薬理学に興味がない人は苦行になります。
- 勉強が嫌い・苦手な人
- 最新の情報を国内外から取得し続けなければならないため、大量の論文・文献を読んで情報収集をし続けなければなりません。論文を読んで情報収集することが嫌い・苦手な人は避ける方が無難です。
- 課題抽出・提案ができない人
- メディカルアフェアーズの業務は自ら課題を発見し、研究の企画・実施を進めるため能動的に業務を遂行できる人材でなければ務まりません。与えられたタスクをこなす業務を希望する方には向いていません。
企業の研究職
教育機関や企業で研究を行う職種です。学位取得者や研究実績を持つ方なら転職できる可能性がありますが専門学校卒の場合はほぼ転職は不可能です。
研究機関は主に以下の3つが考えられますが、臨床検査技師から転職するなら民間企業の研究職が最も難易度が低いです。
- 公的機関(国家公務員総合職試験の合格が必須)
- 教育機関(博士課程卒業後にポストドクターとして就職)
- 民間企業(必須資格なし)
- 業界・企業によって多種多様ですが、企業の商品開発や基礎研究を行います。
- 平均年収は300万円〜800万円程度、マネージャークラスは1000万円を超えます。
- やりがいを感じる機会が増える
- 自分が開発に携わった製品が世に出て人の役に立てると非常にやりがいを感じます。
- 業務時間を自分でコントロールできる
- 研究職は研究テーマの目的が達成できるなら途中経過は関係ありません。そのため、1日10時館働く日もあれば4時間程度で帰宅する日もあるなど、働く時間じ自分で管理できます。また、勤務地も基本的には研究室のみなので、1週間のスケジュールを立てやすいです。
- 労働時間が長くなる
- 研究成果が得られていれば問題ありませんが、思うような結果が得られていない場合は毎日遅くまで残って研究を行うことになります。
- 成果が出せなければ雇用契約を解除される
- 雇用契約書の内容にもよりますが、研究職は結果が全て。企業が求める結果が出せないなら最悪雇用契約を解除される可能性もあります。
- 1つの課題に没頭できる人
- 研究職は1日中誰とも話をせず自身の課題と向き合うこともあるため、1つのことにとことん集中できる人が向いています。
- 同じ作業を淡々と繰り返せる人
- 研究内容によっては毎日同じ作業の繰り返しになることもあるため、同じ作業の繰り返しが苦にならない人は研究職が向いています。
- 飽きっぽい人
- 同じ作業を繰り返すことに抵抗がある飽きっぽい人は研究職に転職してもすぐに飽きがくるためおすすめできません。
- 短期的に成果を上げたい人
- 研究は長い時間をかけてようやく成果が得られることも多いため、短期的に成果を上げたい人は向いていません。
臨床検査技師から企業に転職するための3ステップ
ステップI:履歴書・職務経歴書を作成する
ステップII:転職サイト・転職エージェントに登録する
ステップIII:応募前に企業情報を収集する
ステップI:履歴書・職務経歴書を作成する
履歴書・職務経歴書は自分に代わって企業の採用担当や転職エージェントにアピールしてくれる転職活動の要。
作成が面倒でつい後回しにしてしまいがちですが、後回しにして適当に作った職務経歴書では企業の採用担当のハートを射抜くことはできません。
- 企業受けする職務経歴書に盛り込むべきたった1つの要素はUSP(Unique Selling Proposition)
- USPとは他のライバルにはない自分だけが持つ特徴のこと
- USPを考える手順は対象企業を特定⇨ベネフィットの明確化⇨独自性をアピール
- USPは転職エージェントなどの第3者に確認してもらうことでより洗練される
- 職務経歴書の作成はリクルートエージェントのエディターが優秀
- 初めて職務経歴書を作成する方でもガイドに沿って簡単作成
- 業界・職種別に用意されたテンプレ入力で美しい文章が短時間で作れる
- 完成した書類はWordファイルでダウンロードできるため他転職エージェントにも転用可能

ステップII:転職サイト・転職エージェントに登録する
せっかく転職するなら優良企業に転職したくありませんか?
安月給で月間残業時間が100時間を超えるようなブラック企業に転職したい人などいないと思います。
とはいえ、外部からブラック企業かホワイト企業かを見極めるのは意外と難しいんです。
外部からブラックかホワイトかを簡易的に見極める方法は転職市場に長く身を置いて求人情報をモニタリングすることです。
- ブラック企業
- 退職者が頻繁に発生するため、欠員補充の目的で求人が頻繁に出ている。
- ホワイト企業
- 退職者が少ないため、欠員補充に伴う求人はあまり出ない。
基本的に企業が求人を募集する理由は欠員の補充か事業拡大に伴う人員補強のどちらか。
事業拡大に伴う人員増強は募集要項に明記されているため一目瞭然ですが、欠員補充の場合は記載がないケースがほとんどです。
募集要項を見ても分からないなら求人の募集頻度で確認するしかありません。
常に求人が出ている、もしくは求人がクローズしてもまたすぐに求人が出る企業はブラック企業の可能性あり
今までに見たことがない珍しい求人はホワイト企業の可能性あり
転職サイト・転職エージェントは転職を支援してくれるサービスですが、情報収集目的で登録しても何も問題はありません。

ステップIII:応募前に企業情報を収集する
転職先企業の労働時間、残業時間、夜間・休日出勤の有無、給与形態・・・
転職を後悔しないためにも、これらの情報は転職前に絶対確認すべきです。
問題は情報のソース。
企業のリクルートページ
転職エージェント・転職サイトから得られる求人票
上記の2つが思い浮かんだ方は要注意。転職を後悔する可能性が非常に高いです。
ステップIIでも解説した通りで、企業人事や転職エージェントは求職者を転職させることが目的なので、応募を取りやめるような求職者に不利な情報は原則公開しません。
また、求人票に記載されている業務内容は氷山の一角である可能性が高く、転職してからその他の業務の多さに圧倒され『聞いていた業務内容と違う』と転職を後悔することに繋がります。
転職を後悔しないためにも、情報は自分から積極的に探しに行くべきです。
転職先企業の情報を自分から収集する方法は求人票は信じるな!転職前の正しい情報収集のやり方と注意点を解説で説明しているので情報収集の参考にしてみてください。
まとめ:臨床検査技師から他職種への転職は今ならまだ間に合います
本記事の内容をまとめます。
- 胚培養士
- 労働条件・業務内容・年収は臨床検査技師と同水準だが『不妊』領域の専門性が身に付く。
- 患者とコミュニケーションを取る機会も多いため向き・不向きがある。
- CRC
- 患者対応・事務作業など複数のタスクを同時にこなす『マルチタスク能力』が開発される。
- フレックスタイムや時短勤務など家庭状況に応じて柔軟な働き方が実現できる。
- アプリケーションスペシャリスト
- 顧客サポートがメインの業務であり、対応する顧客によっては大きなストレスが発生する。
- 企業は成果主義であり自分の頑張り次第で年収が大幅にアップできる。
- メディカルアフェアーズ
- 最新医学に対する深い知見が得られる。
- アカデミックな職種でありその分野のKOLと同等以上の知識が必要なため難易度が高い。
- 研究職
- 市場ニーズに応える新製品を開発できるためやりがいを感じる機会が増える。
- 学位取得者・研究経験保持者など求人に応募できる人材が限られる。
臨床検査技師の資格を持っていれば他職種へ転職する選択肢も案外多いです。
今の仕事に不満を抱えていたり、検査技師の将来に不安があるなら転職を検討すべきタイミング。
転職にリスクはありますが転職活動にリスクはありません。
今の仕事を続けながら求人を探しつつ、気になる企業が見つかればいつでも行動を起こせるよう日頃から準備を進めておいてください。