『4度の転職経験を持つ臨床検査技師の実体験』に基づいており、信頼性と再現性が高いです。
ネット情報の寄せ集めではなく実務経験者だけが知っている情報満載です!
求人票や転職エージェントからは入手できない本記事では、臨床検査技師からの転職でオススメの他職種(医療系専門職)を6つご紹介します。
- 治験コーディネーター@治験施設支援機構
- アプリケーションスペシャリスト@検査機器・試薬メーカー
- 研究開発職@中小企業
- 臨床開発モニター@開発業務受託機構
- メディカル・サイエンス・リエゾン@製薬メーカー
- メディカルアフェアーズ@製薬メーカー
臨床検査技師から企業の他職種に転職するメリットは下記の通り。
給料と休日が増える
臨床検査技師の経験を活かせる
応募できる求人が比較的多い
新たな資格を取得する必要がない
ちなみに私は胚培養士も経験していますが、下記の理由から不妊治療に貢献したい人以外はオススメしません。
給料が安い
基本給は臨床検査技師とほぼ同じ
休みが少ない
培養のため休日出勤は100%ある
責任重大
受精卵が育つ育たないは手技と関係ありませんが、培養の過程で受精卵を紛失したりすると目も当てられません。
臨床検査技師に強いこだわりが無いなら、あなたの将来のためにも積極的に企業の他職種への転職を検討してください。
治験コーディネーター(CRC)@SMO

治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator:CRC)とは、治験を進めるための各種調整業務・治験データ収集の補助を担う職種です。医療機関の関連部署、製薬会社、医薬品開発業務受託機構(CRO)など、調整先は多岐に渡るため治験を円滑に進めるに必要不可欠な存在です。
CRCには『院内CRC』と『院外CRC』の2種類が存在し、院外CRCは治験施設支援機構(Site management Organization:SMO)と呼ばれる企業に所属します。
CRCの業務内容
CRCの業務は『対象』と『治験期間』によって下記の9つに分類されます。
対象 | 治験前 | 治験中 | 治験後 |
---|---|---|---|
医療機関 |
|
|
|
CRO製薬企業 |
|
|
|
被験者 |
|
|
– |
※横にスクロールできます
SAE対応
SAE(Serious Adverse Event)とは、重篤な有害事象のことで、(治験薬を含む)医薬品が投与された際に生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事(有害事象)のうち、下記に該当する事象のことを指します。
- 死亡
- 死亡につながるおそれのあるもの
- 治療のため に入院、または入院期間の延長が必要とされるもの
- 障害、または障害につながるおそれのあるもの
- ①~⑤に準じて重篤であるもの
- 後世代における先天性 の疾患または異常
治験薬投与期間中に上記に該当する事象が発生した場合は夜間休日問わず24時間以内に治験依頼者(製薬会社)への報告する義務がある。
治験は被験者の安全確保が最優先。被験者の不利益に繋がる事象が生じた場合は治験が中止になることも珍しくありません。
SAEでCRCが対応することは下記の4点です。
- SAE発生後24時間以内にCRAへ報告
- 治験継続意思の確認
- SAE報告書(第一報:速報)の作成補助・提出
- SAE報告書(第二報以降:続報)の作成補助・提出
ちなみに、SAE報告書の続報は被験者の転帰が変わる毎に更新・提出します。
SDV対応
SDV(Source Document Verification)とは、直接閲覧のことで、CRA(臨床開発モニター)が下記を確認するために医療機関の治験データを閲覧するイベントです。
- 治験中に収集した各種データ・記録が治験実施計画書に則していることの確認
- 原資料と症例報告書の整合性確認
SDVでCRCが対応することは下記の3点です。
- CRAから依頼された治験データの提出
- SDVで生じた疑義照会の対応
- CRAから依頼された修正事項の対応
CRCの待遇
年収 | 450万円〜550万円 |
---|---|
残業時間 | 0〜10時間(40時間程度のスパイクあり) |
勤務形態 | フレックスタイム・直行直帰 |
40時間程度のスパイクとは
CRCの残業時間は担当する治験の期間によって大きく異なります。
治験期間 | 月間残業時間 |
---|---|
治験開始前 | 20〜40時間 |
治験期間中 | 0〜10時間 |
治験終了後 | 0〜10時間 |
治験開始前(=立ち上げ)は最も業務量が多いこと、治験への理解が乏しいことなどから、残業時間は多くなります。
フレックスタイム
フレックスタイムとは、始業時間と就業時間を自分で自由にコントロールできる勤務体制のことです。

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が ⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。労働者は仕事と⽣活の調和 を図りながら効率的に働くことができます。
患者対応や医師対応の時間に応じて出勤時間・退勤時間を上長の許可を必要とせず、自分で自由にコントロールできます。
直行直帰
CRCは医療機関でしかできない業務が大半を占めます。
そのため、会社に出社する頻度は少なく、自宅から直接医療機関に向かいます。
なお、施設への移動は原則、公共交通機関を利用します。
CRCの向き・不向き
向いてる人 |
|
---|---|
向いていない人 |
|
CRCが向いている人
コミュ力に自信あり
人と話すことが得意で初対面でも上手にコミュニケーションが取れる人はCRCに向いています。
- 初対面の診療科の看護師に治験協力の依頼をしたり
- 日常業務で多忙な医師に症例報告書の作成を依頼したり
- 気難しい患者さんの待ち時間の話相手になったり…
マルチタスク
CRCは同時に複数のタスクをこなす場面が多々あります。
マルチタスクが得意な人ほどCRCの業務は向いています。
事務作業が嫌いじゃない
意外かもしれませんが、CRC業務の9割は事務作業です。
- 社内外へのメール対応
- 症例報告書の作成補助
- 電子症例報告書への入力
- 被験者ごとの治験スケジュール作成
- 次回来院時の準備(採血スピッツの準備・Visitの確認・CRC記録の作成と振り返り)
- 被験者スクリーニング
- 社内用日報システムへの入力…
CRC記録とは?
CRC記録とは治験参加者ごとに作成する治験の記録です。前回の来院時から今回の来院時までのイベントや来院日当日のイベントを5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)で記録して治験期間中に発生したイベントをいつでも振り返れるようにするCRC用の備忘録です。
必然的にパソコンと向き合う時間が増加するため、パソコン作業が得意な人はCRCが向いています。
CRCが向いていない人
人と話すのが苦手
初対面の人と上手くコミュニケーションが取れない人は業務の進行に支障が出るためCRCには向きません。
マルチタスクが苦手
複数のタスクを同時にこなすことが苦手な方は業務に漏れが発生して医療機関スタッフ、被験者から信頼を失う可能性があります。
CRCの業務は人と人とを繋ぐ側面もあるため、信頼を失うことはCRCとして致命的です。
空気を読みすぎる人
空気を読みすぎる人は自分がしんどくなるためCRCには向きません。
CRCは相手の都合に合わせて業務を遂行します。空気を読みすぎる人は相手が忙しそうだと声を掛けることを躊躇してしまい、いつまで経っても自分の仕事が終わりません。
人は仕事を頼まれることは嫌がります。
CRCのやりがい
治験被験者さんから『ありがとう』と言われた瞬間
CRCの魅力は臨床に1番近い場所で臨床開発に携われること。
治験被験者さんの来院時は検査・診察に必ず付き合いますし、不安なことや疑問点があれば主治医ではなくCRCに聞いてくれます。
担当した治験薬が承認されたとき
担当試験の治験薬が承認されて一般的に使われるようになった時は『あの時の働きが今の成果に繋がっている』と達成感を噛み締められます。
治験実施診療科の先生に認めてもらえた瞬間
入社後のCRCに対する医師のイメージは『ど素人』。
初めて担当する治験では『君の指図は受けない』『はいはい、わかりました』『うざい』
こんな状態からスタートして、毎日治験のサポートを積み重ねて医師とディスカッションできる状態までレベルが上がると『次回の診察はいつにしたら良い?』『治験薬の用量はどれくらい?』『この患者さんは治験に参加できる?』
CRCになって臨床検査技では経験できない『臨床との距離が限りなく近い場所』で働いてみませんか?
アプリケーションスペシャリスト@検査機器・試薬メーカー

アプリケーションスペシャリストとは、医療機器メーカーのカスタマーサポート業務を行う職種です。カスタマーサポートは『装置』と『アプリケーション』に分かれますが、アプリケーションスペシャリストはアプリケーション関連のサポートを専門的に実施します。
アプリケーションスペシャリストの業務内容
自社製品の顧客サポート | 勉強会・説明会 | 販促活動 | |
外勤 |
|
|
|
内勤 |
|
|
|
※横にスクロールできます
自社製品の顧客サポート
機器導入時のランニング
新しく検査機器を導入する施設の立ち上げ業務。セットアップ〜データ取り、オンラインテストなどを実施します。
操作トレーニング
実務担当者にオペレーショントレーニング・メンテナンストレーニングを実施します。
トラブル対応
機器トラブル・データトラブルの調査・原因追及・是正措置を実施し、顧客に報告します。
勉強会・説明会
自社製品の紹介
自社製品の特徴や導入するメリットを実務担当者にプレゼンします。
学術勉強会
疾患やガイドライン等の学術的な勉強会を実施します。
学会講演
各種学会・技師会のメーカーセッションでプレゼンします。
販促活動
データ収集・分析
担当エリアの販売実績データを収集・解析して、顧客ニーズを分析します。
販促プラン作成
分析したデータから仮説を立てて、販売が促進されると思われる施策を作成し、営業に共有します。
アプリケーションスペシャリストの業務内容は職種紹介|元アプリケーションスペシャリストが業務内容を解説!で詳しく解説しています。
アプリケーションスペシャリストの待遇
年収 | 500万円〜650万円 |
---|---|
残業時間 | 0〜10時間(40時間程度のスパイクあり) |
勤務形態 | フレックスタイム・直行直帰・テレワーク |
40時間のスパイクとは
アプリケーションスペシャリストの残業時間は繁忙期と閑散期でかなり差があります。
期間 | 残業時間 | |
閑散期 | 1,2,3,4,6,7,10,11月 | 0〜10時間 |
繁忙期 | 5,8,9月,年末年始 | 20〜40時間 |
この理由は、繁忙期はGW、夏季休暇、SW、年末年始など大型連休があり、機器の設置・導入時のランニング業務が発生するからです。
導入時のランニングは事前準備・事後報告を含め、アプリケーションスペシャリストのタスクの中で最も業務量が多いんです。
フレックスタイム
フレックスタイムとは、始業時間と就業時間を自分で自由にコントロールできる勤務体制のことです。

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が ⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。労働者は仕事と⽣活の調和 を図りながら効率的に働くことができます。
施設対応の時間に応じて出勤時間・退勤時間を上長の許可を必要とせず、自分で自由にコントロールできます。
直行直帰
アプリケーションスペシャリストは顧客先での業務が大半を占めます。
そのため、会社に出社する頻度は少なく、自宅から直接医療機関に向かいます。
なお、施設への移動は入社時に貸与される社用車を利用できる企業が多いです。
テレワーク
アプリケーションスペシャリストのタスクは顧客先で実施する『外勤』とパソコン業務がメインの『内勤』に分かれます。
時期にもよりますが、外勤と内勤の比率は3:7程度。外勤者とはいえ、実は業務の大半は内勤が占めています。
- 施設へ提出する報告書の作成
- 施設で取得したデータの解析
- プレゼン資料作成
- 社内報告用日報の入力
- デモ用サンプル試薬の手配…
入社時にノートPCが貸与されるため、働く場所はオフィスに限定されません。
- 午前中は自宅で内勤
- 午後から施設で業務
- 施設退出後は近くのスタバで報告書作成
こんな働き方ができるのもアプリケーションスペシャリストの魅力です。
アプリケーションスペシャリストの向き・不向き
向いてる人 |
|
---|---|
向いていない人 |
|
アプリケーションスペシャリストが向いている人
空気が読める人
顧客(医療機関スタッフ)に対して失礼があると出入り禁止になる可能性があります。
顧客対応時は空気を読んで話しかけるタイミング・話し方・話す内容をカスタマイズする必要があります。
プライベートの時間を自由に使える人
施設対応は医療機関のルーチンが落ち着く夕方以降になることが多く、業務時間は定時(9時〜18時)から遅い時間にシフト(11時/20時など)します。
比較的朝はゆっくりできますが、帰宅時間は慢性的に遅くなるため、家庭を持つ人より独身者の方が向いている職種です。
頭脳労働が苦にならない人
『自社製品の顧客サポート』業務のうち、案件数が最も多いのはトラブル対応です。
トラブル対応は、現状証拠から考えられるあらゆる可能性を疑い仮説を立て、検証して原因特定・解決に導く業務です。手を動かすことより頭で考えることがトラブル対応には欠かせないため、『自分のあたまで深く考察できる能力』に長けている人はアプリケーションスペシャリストに向いています。
アプリケーションスペシャリストが向いていない人
家族・恋人との時間を大事にしたい人
医療機関が顧客ということもあり、業務時間は遅い時間にシフトするため、帰宅時間は慢性的に遅くなります。
また、休日出勤や出張も定期的に発生するため家族・恋人とすれ違う時間が多くなります。
指示待ち傾向の人
テレワーク、直行直帰、フレックスは働きやすい反面、上長を含めた他メンバーと顔を合わせる時間が少なくなります。
そのため、課題の共有や課題に対するアプローチへのアドバイスが得られにくく、独断で行動する機会が増えます。
そのため、指示が無くてもある程度は自走できなければ業務を進められません。
体力に自信が無い人
『自社製品の顧客サポート』業務のうち、機器導入時のランニングは体力勝負。
9時から18時まで終日立ち作業のこともありますし、遅い日だと施設を退出するのが21時を過ぎることも。
期間的には長くても2週間程度と限定的ですが、体力が無いと少々キツく感じることもあるでしょう。
アプリケーションスペシャリストのやりがい
アプリケーションスペシャリストのやりがいを一言で説明すると、『自身のレベルアップに繋がる』です。
思考力が強化される
トラブル対応の場数を踏むことで下記の思考力が鍛えられます。
思考力 | 説明 |
クリティカルシンキング | 「本当にこれで良いのか?」と前提を疑う思考法。前例踏襲や慣例に対して疑問を投げかけることから始まる。 |
ラテラルシンキング | 事象を多面的に捉え、自由な発想でアイデアを生み出す思考法。投げかけた疑問に対し、新たな視点で解決策を見つける。 |
ロジカルシンキング | 主張と根拠を論理的に説明する思考法。状況証拠に基づいて新たなアイデアを提案し問題解決に導く。 |
上記の思考力(トリプルシンキング)はアプリケーションスペシャリストに限らず、管理職やクリエイティブな職種には必ず要求される思考です。
- 常に嘘をつく『嘘つき族』
- 常に本当のことを言う『正直族』
下記4人の中から誰が嘘つき族で誰が正直族かを当ててください。
※カンではなく順序立てて考えると答えに辿り着きます。

1つずつ推論(仮定)しながら消していくと必ず矛盾が生じます。
嘘つき族はBさんです。
Bさんが嘘をついていると仮定すると他の3名の発言に矛盾は生じません。
- Aさん:正直族(矛盾なし)
- Cさん:Bさんは嘘つき族(矛盾なし)
- Dさん:Aさんは正直族(矛盾なし)
医療機関をまたいだ交流ができて自身の知見が広がる
アプリケーションスペシャリストになると、下記のような様々な医療機関を担当します。
- 国立病院
- 私立病院
- 独法病院
- 専門病院
- クリニック
- 検査センター
複数の医療機関を担当することで、臨床検査技師時代には築けなかった医療機関を超えた横の繋がりが持てるため、人脈の幅が広がります。
プレゼンテーションスキルが強化される
顧客先でのプレゼンテーションは業務の3割程度を占め、月1〜2回発生します。
プレゼンスキルと聞くと『人前で上手に話せる能力』と思われガチですが、違います。
プレゼンスキルを強化する本質は『相手に自分の話を聞いてもらえる能力の強化』です。
アプリケーションスペシャリストで強化されるプレゼンスキルは『人前で上手に話せる能力』ではなく、『相手に自分の話を聞いてもらえる能力』です。
人は自分に関係のある話にしか興味がありませんし耳を傾けません。
日常業務で備わったトリプルシンキングと複数の医療機関の横の繋がりで習得した知見が合わさることで、相手を納得させるだけの優位性やメリットを論理的に説明できるようになり、興味を抱かせて話を聞いてもらえるようになります。
研究開発職@中小企業
研究開発とは、研究によって得られた知識・技術を製品として世に出し事業化する職種です。今までにない新しい製品を生み出すイノベーティブな側面が強く、革新的なアイデアを製品化・実用化して自社の利益に貢献することが主なミッションです。
研究開発職は様々な企業から幅広く募集がありますが、大手製薬メーカーや公的機関は『学歴』と『研究の実務経験』と『研究実績』が要求されるため、病院臨床検査技師が採用される可能性は極めて低いです。
研究開発職の業務内容
研究開発職の業務は0を1にする(新しい技術・知識を生み出す)『研究』と、1を10にして事業化する『開発』の2つに分類されます。
研究開発職の待遇
年収 | 450万円〜1,000万円以上 |
---|---|
残業時間 | 0〜10時間(40時間程度のスパイクあり) |
勤務形態 | 研究室で勤務 |
年収レンジが広い理由
研究職求人には派遣とメーカー正社員の2つがあります。
派遣求人は年収が450万円〜550万円程度、メーカー正社員は500万円〜1,000万円以上であり、メーカー正社員の方が給与水準は高いです。
メーカー正社員の方が給与水準が高い理由は、管理職昇進時の年収がレンジの上限に設定されているから。
ちなみに、年収こそ低いものの、採用してもらえる可能性は派遣の方が圧倒的に高いです。
まずは、高年収が期待できるメーカー正社員に応募してみて、ダメだったら派遣で研究職のキャリアをスタートする方法が王道です。
40時間のスパイクとは
研究開発職には期日とノルマがあります。
ノルマ:研究開発の課題を達成させること
期日:上記ノルマを完了させる期限
期日までにノルマを達成できなければ
- 派遣なら契約終了
- メーカー正社員なら降格・解雇
最悪こうなるため、どれだけ残業しても期日までにノルマを達成させなければなりません。
年収と研究課題のレベルの高さは比例します。
残業時間は研究課題とあなたの能力に依存します。
研究開発職になりたいなら身の丈にあった求人に応募してください。
勤務形態について
研究開発職の業務は大きく『実験』と『レポート作成』に分かれます。
実験は特別な設備・機器が必要なので研究室でしか業務はできません。
レポート作成は自宅でもできそうですが、実験結果をすぐに閲覧できないため捗りません。
実験もレポート作成も実験室で実施するのが最も効率が良いです。
研究開発職の向き不向き
向いてる人 |
|
---|---|
向いていない人 |
|
研究開発職が向いている人
トリプルシンキングが得意な人
思考力 | 説明 |
クリティカルシンキング | 「本当にこれで良いのか?」と前提を疑う思考法。前例踏襲や慣例に対して疑問を投げかけることから始まる。 |
ラテラルシンキング | 事象を多面的に捉え、自由な発想でアイデアを生み出す思考法。投げかけた疑問に対し、新たな視点で解決策を見つける。 |
ロジカルシンキング | 主張と根拠を論理的に説明する思考法。状況証拠に基づいて新たなアイデアを提案し問題解決に導く。 |
研究開発はトライ&エラーの繰り返しです。
実験結果をトリプルシンキングを駆使して考察して次の検討課題を発見し、成功に向けて一歩ずつ前進します。
自発的に行動できる人
会社から実験のプロセスを指定されることはありません。
どんなやり方であれ『成果』が得られれば会社的にはOK。
上からの指示が無くても試行錯誤して最短で結果を出せる人が研究開発職では評価されます。
疑問点を自ら調べて解決できる人
実験でつまずいた時、人を頼らず自ら論文や情報誌を調べて疑問点を解決できなければ最短で結果を出せません。
誰かに質問しても即レスが得られることは少なく、早くても翌日、遅ければ回答に1週間程度の時間を要することも珍しくありません。
回答が得られるまで実験が進展しないとなると、期日までの時間が短くなりタイムアップになりかねません。
あとは実験でつまずく頻度。毎日未知との遭遇を繰り返す研究開発職は毎日つまずきます。
研究開発職が向いていない人
頭脳労働が苦手な人
研究開発職は7:2で頭脳労働が圧倒的に多い職種です。
頭を使う作業が苦手な人は毎日眠たくなってしんどいです。
指示待ち傾向の人
会社は成果を求めるだけで、プロセスを細かく指示してくれません。
初見の出来事や実験の疑問点を自発的に調べて次々と課題解決できなければ務まらない職種です。
大勢でワイワイ仕事をしたい人
これは研究室(会社)の規模によりますが、中小企業の研究開発職は孤独です。
研究室にひとりこもって作業することは珍しくなく、1日誰とも会話をしない日もあります。
ひとりで業務を遂行するのが嫌な人は研究開発職には向きません。
研究開発職のやりがい
研究開発職のやりがいを一言で説明すると『イノベーティブな仕事ができる』です。
ベタな回答ですが、これまでにない新しい価値を社会に提供できるのは研究開発職の醍醐味です。
これまでの常識に捉われることなく、一見非常識とも思える挑戦で新たな価値を生み出せることは、他の職種では味わうことができない貴重な体験です。
日々トライ&エラーの繰り返しで、成功よりも失敗の方が圧倒的に多い職種だからこそ、これまでの努力が実を結んだ時の達成感は何事にも変えられません。
臨床開発モニター(CRA)@CRO

臨床開発モニターも求人数が多く、臨床検査技師からの転職が比較的成功しやすい職種です。
CRCは医療機関の業務サポートを行う職種でしたが、臨床開発モニターは治験依頼者(製薬会社)の業務をサポートする職種です。
CRAの業務内容
- 施設要件調査、試験担当医師要件調査:治験に参加する資格の有無を調査
- 施設契約手続き:治験参加に必要な書類の作成
- IRB申請資料作成補助:倫理審査委員会で治験実施の許可を得るための資料作り
- スタートアップミーティング:診療科・関連部署に治験の概要を説明する
- クエリ対応:CRCが入力した症例報告書の内容にの不備を確認・修正依頼
- SDV:治験がプロトコルに沿って逸脱なく進んでいることを診療録をチェックして確認
- 症例登録促進:患者スクリーニングの状況チェック、候補者の適格性をチェック
- 重篤な有害事象対応:治験中に生じた重篤な有害事象の対応を医療従事者・CRCに指示
研究開発職の待遇
年収 | 450万円〜600万円以上 |
---|---|
残業時間 | 20〜30時間(50時間程度のスパイクあり) |
勤務形態 | フレックス・直行直帰・テレワーク |
コロナ禍以前はSDV対応で全国に出張しまくっていましたが、コロナ禍以降はリモートSDVが普及したお陰で出張の頻度は大幅に下がりました。
CRAの向き不向き
向いてる人 |
|
---|---|
向いていない人 |
|
CRAが向いている人
製薬メーカー・医師・医療機関スタッフ・治験コーディネーターなど、関わる職種が多いCRAは適切にコミュニケーションが取れる人でなければ務まりません。
CRAは治験プロトコルが異なる複数の案件を担当するので、マルチタスクができなければ業務が回りません。
また、CARは9割が事務作業、1割が治験責任医師との面談。事務作業が苦手な人は地獄です。
CARが向いていない人
ストレス耐性が低い人はCRAには向いていません。
- 治験依頼者(製薬会社)からの無理な要望
- プロジェクトリーダーからの無理な要望
- 前任者のやり残し
①②はCRAが手を動かすワケではなく、CRCや治験施設の医師に依頼します。
CRCや治験医師の手を煩わす面倒なタスクを依頼する時の申し訳なさは計り知れません。
③は精神的な問題で突然前任者が出社しなくなった場合(通称闇落ち)。
後任に選ばれると、まずは施設現状を把握することから始まりますが、闇落ちCRAは業務が溜まりに溜まっていることも珍しくなく、現状把握が大変。
中には『同意書が見つからないSDV対応』など、開けてはいけないパンドラの箱が眠っていることも。。。
また、CRAはCRCに業務を依頼することが多いですが、CRCには気が強い人が多いため言い方をミスると『お前がやれ』みたいな空気になることも。
CRCの圧に負けると自分の業務量が増えるため、絶対に折れてはいけません。
CRAのやりがい
出張ベースの仕事が多いCRAは会社のお金でプチ旅行気分を味わえます。
出張先でグルメツアー
担当治験に参加する全国の医療機関に出張するため、ご当地グルメを堪能できます。
医療機関先での業務はSDVは定時(17時ごろ)まで、治験責任医師との面会も事前にアポイントさえ取っておけば遅くても18時には施設を退出できます。
会社のお金でJACダイヤモンド
会社に在籍するCRAの人数が少ないと1週間に複数施設を訪問することになります。
当日18時まで業務して翌日は朝から別施設となると、新幹線だと移動時間がネックになります。
そのため、飛行機で移動できることが多く、知らない間にマイルがめっちゃ溜まります。
治験参加者さんが快方に向かっていることをカルテから確認できたとき
最後は真面目なやりがい。
CRAはCRCと違い、治験参加者さんと直接対峙することはありません。
ですから、治験薬の効果は診療記録から間接的に知ることになります。
SDVでカルテを見て調子が良くなっていることを知ると、とても嬉しい気持ちになります。
メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)@製薬メーカー
メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)とは、医療機関の外部顧客(主に医師)との面談を通して情報提供・情報収集を行う職種です。
MSLの業務内容
医師に対して医学・科学的なエビデンスや高度な専門知識をもとに、医薬品の情報提供を支援します。
具体的には、KOL(キーオピニオンリーダー)のマネジメントや臨床研究支援として下記の業務に従事します。
- 学術トピックスの提供、新薬の情報提供。
- 医師主導研究への対応
- 地区スピーカー育成
- 適用外使用等の情報提供
製薬企業の販売促進に影響力を持つ医師などの専門家のこと。
インフルエンサー(大きな影響力を持つ人)と呼ばれることもある。
病気に対する見解や薬物使用の判断は個々の医師によって違うため、患者の治療効果には差が現れることも少なくない。
KOLが適切な治療方針を示すことが、現場で働く医師たちに大きな影響を持つため、KOLには他の医師たちに最新の製薬情報を普及させるプロモーターの役割が期待されている。
そのため、KOLとなる医師の選定は製薬企業にとって重要なポイントである。
また、医薬品申請時にもKOLの見解は重視される。
KOLへの働きかけが大事である一方、次世代のKOL候補であるYOL(Young Opinion Leader)との関係構築も製薬企業にとっては重要なマターである。
出典:Answers
MSLの待遇
年収 | 600万円〜1,500万円以上 |
---|---|
残業時間 | 10〜20時間 |
勤務形態 | フレックス・直行直帰・テレワーク |
残業時間
MSLの残業時間は10〜20時間。
医療業界の中では比較的ワークライフバランスバランスが取りやすい職種です。
ただし、遠方施設への出張が増えると移動時間が増加する分、残業時間も多少増加する可能性があります。
フレックスタイム制度
自身の業務スケジュールに応じて出退勤時間を自由にコントロールできます。
直行直帰
KOLとのアポイントで遠方施設に移動する際は自宅から直接移動できるようです。
在宅勤務
MSLは基本的に本社・支店に出勤して業務をすることが多いですが、家庭の事情次第では在宅勤務も相談可としている企業が多いです。
メディカル・サイエンス・リエゾンが向いてない人
人付き合いが苦手な人。
MSLはKOLとディスカッションをするために社内の各署と密な調整業務が発生します。
多くの人と関わる職種であり、人間関係構築にはかなり気を使うことになります。
メディカル・サイエンス・リエゾンのやりがい
- サイエンスに特化しており、医師と深いディスカッションができる
- 疾患・治療薬に対する深い知識が身に付く
- 海外と関わりが持てる
メディカルアフェアーズ(MA)@製薬メーカー
メディカルアフェアーズ(MA)とは、製薬メーカーに所属する職種で、医療ニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ:アンメットメディカルニーズ)を踏まえたエビデンスの創出・発信・浸透を図るとともに、患者さんや医療関係者に取って有益な情報を提供し、国内外の治療の発展と治療成績向上に貢献することを目的として活動します。
MAの業務内容
科学的専門知識の提出及びエビデンスの創出
企業が発案する研究の企画・実施、医療情報データベース研究・疫学研究等の企画・実施、治験データのPost -hoc解析・メタ解析の企画・実施、研究者が発案する研究の支援・窓口業務
メディカルプランの策定
ギャップ分析の実施、エビデンス創出に関する戦略作成、HEOR戦略作成、パブリケーションプラン作成
アンメットメディカルニーズの把握
社外医科学専門家(KOL)との医学・科学的交流、コンサルテーション、アドバイザリーボード会議の企画・実施、論文・学会情報の収集、クリニカルクエスチョン・リサーチクエスチョンの特定
医学・科学的情報の発信・提供
医療関係者等への高度な医学・科学的情報の提供、オフラベル情報の提供、論文発表・学会発表の企画・支援・実施、疾患啓発活動、学会メディカルブースの企画・実施、社内メディカル教育の実施、販売情報提供活動の資材等の医学・科学的レビュー
MAの待遇
年収 | 450万円〜1,000万円以上 |
---|---|
残業時間 | 20〜30時間(50時間程度のスパイクあり) |
勤務形態 | フレックス・直行直帰・テレワーク |
メディカルアフェアーズが向いていない人
薬理学に興味がない人
メディカルアフェアーズは疾患の発症メカニズムと医薬品の作用機序の両方を熟知しなければ務まらないため、薬理学に興味がない人は苦行になります。
勉強が嫌い・苦手な人
最新の情報を国内外から取得し続けなければならないため、大量の論文・文献を読んで情報収集をし続けなければなりません。論文を読んで情報収集することが嫌い・苦手な人は避ける方が無難です。
課題抽出・提案ができない人
メディカルアフェアーズの業務は自ら課題を発見し、研究の企画・実施を進めるため能動的に業務を遂行できる人材でなければ務まりません。与えられたタスクをこなす業務を希望する方には向いていません。
メディカルアフェアーズのやりがい
育薬研究に携われる
既に販売されている医薬品の効果を高めて、患者さんにより良い医療を提供することに貢献できます。
原因が解明できない疾患を医薬品の視点から解明できる
自己免疫性疾患・膠原病など、発症のメカニズムが不明な疾患はまだまだ多く存在します。そんな疾患に対して、医薬品の作用機序から逆算して原因特定に結びつくケースもあるため、病気の解明に貢献できます。
実践的な研究ができる
メディカルアフェアーズが担当する医薬品は既に発売されており実際に患者さんにも投与されているもの。創薬などの治験段階のフェーズではなく、多く患者さんからリアルな情報が得られるフェーズにあるため、『実際の医療』に貢献できる研究を担当できます。
臨床検査技師の転職は難しい?転職活動を有利に進める4つのコツ
臨床検査技師の転職は難しいと言われていますが、それは勘違いです。
臨床検査技師は医療系国家資格、かつ検査のプロであるため、医療機関以外からも多くの需要があります。ヘルスケアへの関心が高まる昨今ではその傾向が顕著に出ており、ヘルスケア業界への進出を目指す企業からは高待遇で採用してもらえます。
臨床検査技師から企業の他職種への転職を有利に進めるコツは下記の4つです。
年齢のアドバンテージを利用する
個性的な職務経歴書を作成する
最新の求人情報をモニタリングする
転職リテラシーを高める
4つのコツの詳細は【臨床検査技師の転職が難しいは勘違い】転職成功に導く4つのコツで解説しているので興味がある方はチェックしてみてください。
まとめ:他職種は世界観が広がって意外と面白いですよ
私は臨床検査技師を辞めて様々な職種を転々としてきました。
どの職種も臨床検査技師とは業務内容が全く異なるため、正直業務が板につくまではしんどい思いをすることが多かったですが、しんどい思いをする理由は自分が成長できる証でもあります。
臨床検査技師の業務や待遇に不満があるなら、ぜひ他職種にチャレンジしていただきたいです。
どう転んでも、今より状況が悪くなることはないと思いますので。
今回ご紹介した6つの職種に興味を持たれたなら、まずはどんな求人があるのか情報収集から始めてください。
日系・外資、大手・ベンチャー、ユニコーンなど、各職種が所属する企業は多岐に渡ります。
人気が高い求人は特定の転職エージェントにしかオープンにされていないこともあるので、求人探しは転職エージェントを活用されることをオススメします。
各職種の実務内容をもう少し詳しく知りたい方はキャリアコーチングサービスで実務経験者から直接話を聞くのも良いと思います。
coacheeというキャリアコーチングサービスは、相談相手をテーマや業界別に探せて、気になるコーチが見つかればメルカリ感覚で気軽にコーチングサービスを受けられるためオススメです。