CRC(治験コーディネーター)は臨床検査技師が転職できる他職種の中で最も転職しやすい職種です。
- コミュ力が高い医療資格保持者ならまず落とされない
- 常に求人が出ている
要する治験業界は常に人手が足りないので猫の手も借りたい状態なんですよ。
医療資格を持たないアシスタントですら治験業務に駆り出される始末です。
この記事では、なぜ臨床検査技師からでもCRCは転職しやすいのか?その理由を深堀して解説します。
臨床検査技師からCRCへの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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臨床検査技師からCRCへの転職難易度が低い理由
臨床検査技師からCRCへの転職難易度が低い理由は2つです。
- コミュ力が高い医療資格保持者ならまず落とされない
- CRCは常に求人が出ている
コミュ力が高い医療資格保持者ならまず落とされない
大前提として、CRCの業務を行う上で医療資格は不要です。
でも、求人を見ると大体『看護師・臨床検査技師・薬剤師・放射線技師・理学療法士等の医療資格を有すること』が応募の条件に記載されてます。
なんで!?って思いますよね。
この理由は、治験実施医療機関やCRO(臨床開発モニター)、依頼者(製薬会社)への権威性のアピールが目的なんです。
CRCが所属するSMO(治験施設支援機構)は、治験に参加させた患者数に応じて得られる報酬で成り立っています。
患者を治験に参加させる方法以外で利益を得る術がありません。
そんなSMOが治験案件を獲得する方法は3つあります。
- 製薬会社からSMOに案件の依頼がくる
- 医療機関からSMOにサポートの依頼がくる
- CROからSMOにサポートの依頼がくる
分かりますか?
どのルートもSMOは依頼を受ける立場にあるため、SMOが主体となって治験を走らせることはできません。
何が言いたいかというと、CRC業界は競合他社が複数存在するため、信頼や実績がなければライバルに治験案件を取られてしまい利益が得られない、ということです。
医療資格は治験案件獲得=利益を上げるための信頼・実績作りに欠かせないんです。
コミュ力が要求される理由は、CRCは対人業務が多くコミュニケーション能力がなければ仕事ができないためです。
例えば
- 治験責任医師への治験案件の説明
- 治験担当医師への症例報告書(CRF)の記載依頼
- CRAの直接閲覧時の対応
- 治験事務局担当者とのやりとり
- 治験実施診療科の事務・看護師・コンシェルジュ・秘書との各種調整
- 患者対応
- 薬剤師への治験薬払い出しの依頼
こんなやりとりが毎日発生するので
- 人とまともに会話できない
- ぶっきらぼうで話しにくい雰囲気がある
- 相手の反応を見ながら話す内容を変えれない
こんな人はCRCとしてまともに仕事ができないので落ちます。
とはいえ、普通に人と会話ができるレベルなら問題ないので安心してください。
CRCは常に求人が出ている
CRC求人は転職サイトでもすぐに見つかりますし、臨床検査技師が転職エージェントに登録すると真っ先に紹介されるので、ぶっちゃけいつでも転職できます。
常に求人が出ていると聞くとブラック企業?と心配になるかもしれません。
実際、ブラック企業を判断する基準の1つに『求人が常に出ていること』が挙げられますし。
でも、CRCは常に求人が出ていてもブラック企業ではないんですよ。
その理由はSMOのビジネスモデルにあります。
一般的な企業の場合、利益は製品(モノ)を売ることで得られます。
当然製品の数(ラインナップ)が多いほどたくさん売れて利益も上がりやすくなります。
一方、社員は製品を売るためのコストなので、採用し過ぎて人件費で赤字にならないように『定員』が設けられています。
『定員』が設けられているのに常に求人が出ているということは、人員を補充して定員に達しても他の社員が辞めて定員割れになるため、つまり離職率の高さの裏返しなので職場環境・業務内容が激務のブラック企業である可能性が高いです。
ではSMOの場合はどうか。
SMOの製品はモノではなくヒト。つまりCRCそのものが製品になるため人数が増えるほど会社の利益も上がる仕組みです。
さらに、CRCは販売先も多種多様で、大型の総合病院にも売れるし小さなクリニックにも売れる。
特定のターゲットに絞ってセールスする必要がないため全国全ての医療機関が対象になります。
販売先が無限にある商品があれば、いくらでも仕入れたくなりますよね?
だって、仕入れれば仕入れるだけ儲かるんですから。
CRC求人が常に出続けている理由は「ブラックだから」ではないので安心してくださいね。
CRCへの転職で臨床検査技師が他職種より有利なこと
CRCは元看護師、元薬剤師、元管理栄養士などの医療資格保持者が多く在籍していますが、元臨床検査技師だけが持つCRC業務で有利なことがあります。
それは検査データを読めること。
ここから実際のCRC業務をイメージしながら、検査データが読めることで受けれる恩恵を具体的に解説していくので、しっかりついてきてください。
治験薬の用量調整を先回りできるため余裕を持って準備できる
有害事象による治験中止を事前に察知できる
被験者さんから信頼を得てリエントリーに誘導できる
被験者スクリーニングで作業効率が上がる
治験薬の用量調整を先回りできるため余裕を持って準備できる
治験薬の投与量は当日(または前日まで)の採血結果に応じて用量調整されることが多いです。
というか、血液データで経過を追える疾患なら、客観的に評価ができるのでほぼ採血結果で用量調整します。
具体例をあげると
貧血の治験薬ならHb値が前回よりも
- 減少している場合は増量
- ほぼ同じなら同量継続
- 大幅に増加しているなら減量・または休薬
腎機能の治験薬ならeGFRの値
糖尿病の治験薬ならHbA1cの値
要するに、治療効果が最大限に得られ、かつ副作用が出現しない投与量が知りたいので、頻回に用量を調整するわけです。
どうでしょう?臨床検査技師のあなたなら、すんなり納得できたのではないでしょうか。
これが元看護師とか元薬剤師などの他職種だとそう簡単にはいきません。
なぜなら検査項目と疾患が紐づかないから。
検査データを見ただけでは被験者の状態が把握できないため、診察で医師の見解を聞いてからじゃないと具体的な準備を進めれないんです。
もちろん、治験薬の払い出しは医師がオーダーを出した後になるので前もって薬局に行くことはできませんが、次のアクションが分かっているだけで気持ちにゆとりが持て、慌てることがない分ミスも減ります。
担当案件によっては、同時に複数の被験者対応が重なることがあるため、ミスなく対応を終えるには事前準備が命です。
今回の治験薬の投与量がある程度予測できるだけでも、かなり気持ちに余裕が持てるんです。
有害事象による治験中止を事前に察知できる
治験中に被験者に出現したあらゆる好ましくない・意図しない事象を総称して有害事象と呼びます。
似た言葉に副作用がありますが、両者の違いは投与した医薬品との因果関係の有無。
因果関係がある事象を副作用と呼びます。有害事象の中に副作用が含まれてるイメージです。
で、治験はあくまでも被験者さんの安全性を最重視して実施されるため、治験薬投与開始後に治験継続が困難な有害事象が発生すると、その時点で治験中止となるケースこともありえます。
治験が中止になると、通常とは異なる対応を実施することになるため、事前に予測できていないと慌てふためきます。
明らかに見てヤバそうと分ければ誰でも準備できますが、身体的初見に異常はないけど、検査データがパニック値だった場合。検査データを読めなけれ診察で医師が中止の判断をするまで異常に気づけません。
一方、臨床検査技師は採血結果を見れば「今日治験中止になるかも」とある程度予測できるため、万が一中止になった場合でも余裕を持って治験中止時の対応が行えます。
準備準備とうるさく言っている理由は、治験実施計画書の内容と異なる対応をしてしまった場合、治験中止となったり組み入れ数から除外されて報酬がもらえなくなったりするからです。(これを逸脱と呼びます。)
逸脱すると
- 治験実施施設や診療科に報酬が支払われなくなる
- CRCが在籍するSMOに報酬が支払われなくなく
- 診療科の担当医からの信頼を失う
結構辛い目に遭うので、絶対してはいけません。
逸脱を予防する方法は事前準備あるのみ。
当日慌てると必ず抜けやミスをして逸脱する可能性が高くなるので、可能な限り事前に準備備できることは事前に準備してください。
被験者さんから信頼を得てリエントリーに誘導できる
治験を中止した被験者さんが特定の条件を満たせばまた同じ治験に参加できる仕組みをリエントリーと呼びます。
この仕組みを使えば被験者探しの手間が大幅に減るので、リエントリーできるならリエントリーしてもらう方がCRCとしてはラクです。
とはいえ、治験参加中に嫌な思いをした経験があると、二度と治験に参加してもらえないこともあるため、全ての被験者さんがリエントリーを受け入れてくれるわけではありません。
特に、CRCの対応に不満があった被験者さんは同じCRCの治験には絶対参加してくれないのでその点は肝に銘じておきましょう。
反対にCRCの対応に満足していたなら、何回でも治験に参加してくれる神的な被験者さんもいます。
同じような系統の治験だと、治験への参加基準もほぼ同じなので、他社の試験にも続けて参加できるケースがあるんです。
元臨床検査技師CRCが被験者さんから信頼を得る方法は、検査データを見て今の状態を丁寧に説明してあげること。
もちろん、最終的な判断は医師がするので説明の仕方には注意が必要ですが、
今回の採血データをみて
- GGTが高いからアルコール控えましょう、とか
- CKが高いけど筋肉痛とか運動しました?とか
- ALBが低いけどちゃんとご飯食べれてる?とか
- Kが高いけどカリメート飲みにくかったりする?とか。
血液データを一緒に見て被験者さんのためになるアドバイスをしてあげることで『このCRCさんとは長く付き合いたい』と思ってもらえて信頼を獲得できます。
被験者スクリーニングで作業効率が上がる
CRCは候補者を治験に参加させてなんぼ。
参加できる条件は治験ごとに細かく定められていますが、最も効率的なのは検査項目でフィルターをかけること。
治験への参加基準(適格性)は合併症の有無や併用禁止薬の使用など、複数設定されていますが、慢性疾患なら必ずその中に検査項目が含まれているはずです。
例えば
- Hbが11g/dl未満、とか
- eGFRが30未満、とか
- AST /ALTが基準範囲内、とか。
検査項目から取捨選択して該当者を絞ってから、他の適確性をチェックすることで適格患者をピックアップする精度と速度が段違いに早くなります。
検査データのチェックは臨床検査技師の専売特許。他職種はデータを見ることに慣れていないのでこの点は臨床検査技師にかなりのアドバンテージがあります。
被験者をたくさん治験に参加させることが、CRCとしての評価を高める近道です。
臨床検査技師時代に鍛えた検査データを見る目を使って、じゃんじゃん治験に参加させて鰻登りに評価をあげてください。
まとめ:臨床検査技師ならCRC求人は応募すれば受かります
臨床検査技師はスキル・経験が尖りすぎているため、他業界・他職種では需要がないことがほとんど。
そんな中、CRCは臨床検査技師のスキル・経験が採用にプラスに働く数少ない他職種なので、転職の選択肢の中には必ず入れておくべきです。
臨床検査技師の国家資格を持つなら、CRC求人は応募するだけで必ず書類は通るでしょう。
あとは面接でコミュ力の高さをアピールすれば、ほぼ間違いなく内定は貰えます。
ただし、1発アウトの地雷を踏むと全てが台無しになるので、各社の地雷ポイントは転職エージェントを利用して事前位チェックしておいてください。
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