医療機器メーカーには複数の職種があります。
- 営業
- エンジニア
- アプリケーションスペシャリスト
- テクニカルサポート
- マーケティング
- コールセンター
- バックオフィス
職種 | 業務内容例 |
---|---|
営業 | 新規顧客の獲得、既存顧客の一次対応 |
エンジニア | 医療機器の設置・調整・修理 |
アプリケーションスペシャリスト | 医療機器のデモ、営業の学術サポート、エンジニアのデータサポート |
テクニカルサポート | エンジニア・アプリケーションスペシャリストの技術サポート |
マーケティング | 販売促進プランの立案 |
コールセンター | 顧客の電話窓口 |
バックオフィス | 経理・法務・人事などの事務作業 |
エンジニアは工学系の知識・経験が必須、テクニカルサポート・マーケティング・コールセンターは深い製品知識が無ければ務まらない、バックオフィスは求人が出ない。
つまり、臨床検査技師から転職できる可能性が高い職種は営業またはアプリケーションスペシャリストのどちらかです。
ただし、営業職は下記の理由からおすすめしません。
ノルマ(売り上げ)に追われる
休日・夜間問わず顧客対応が発生する
誰でもなれる職種だから
せっかく苦労して臨床検査技師の国家資格を手に入れたんだから、その資格を活かせる職種の方が良くないですか?
この記事では、臨床検査技師が狙うべき医療機器メーカーの職種『アプリケーションスペシャリスト』の紹介と医療機器メーカー入社後の待遇や病院勤務との違いを解説します。
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アプリケーションスペシャリストってどんな職種?

アプリケーションスペシャリストは、営業・エンジニアと協働して顧客をサポートする医療機器メーカーのフィールドサポートメンバーです。
下記の通り、企業によってアプリケーションスペシャリストの呼び方は様々ですが、要するにフィールドサポート業務のうち営業・エンジニアの業務以外の全ての業務を担当するポジションです。
- フィールドサイエンティスト
- クリニカル・リエゾン
- メディカル・サイエンス・リエゾン
- クリニカル・スペシャリスト
- 技術営業
アプリケーションスペシャリストの業務内容は?

フィールドサポートを担当する営業・エンジニア・アプリケーションスペシャリストは独立した職種のため、基本的にはそれぞれが担当する業務内容は異なります。
ただし、アプリケーションスペシャリストに限っては業務内容が営業ともエンジニアとも重なる部分があるため、活動範囲が営業的な側面とエンジニア的な側面の両方を合わせ持ちます。
アプリケーションスペシャリスト単独の業務内容

アプリケーションのセットアップ
医療機器の動作は専用のソフトウェアで制御しています。エンジニアは装置を設置・各部の位置調整までしか実施できないため、アプリケーションの登録・設定をアプリケーションスペシャリストが実施します。
医療機器のデモ・データ取り
設置・アプリケーション登録後の医療機器は問題なく動作するのかをテストする必要があります。医療機器の操作はアプリケーションに精通しており、結果の解釈までできるアプリケーションスペシャリストが担当します。
操作・メンテナンストレーニング
顧客に医療機器の使用方法を説明することも、アプリケーションスペシャリストの重要な業務の1つです。メーカー推奨の使用方法をマニュアルに沿って顧客にレクチャーします。
ソフト(データ)面のトラブル対応
データトラブル対応は測定データを正しく解析できるアプリケーションスペシャリストならではの業務。最近の医療機器は測定中のプロセスがブラックボックス化しているため、得られた状況証拠から原因を特定します。
営業と重なる業務内容

アプリケーションスペシャリストの業務内容
既存顧客への問い合わせ対応
顧客の一次対応は営業が担当しますが、製品や学術的な問い合わせは営業では手に負えないこともあります。製品知識・学術知識に富んでいるアプリケーションスペシャリストが営業とともに顧客へ回答します。
各種勉強会・説明会の開催
メーカー社員は自社製品の紹介や自社製品と関係が深い領域の疾患の解説など、顧客からの要望に応じて勉強会・説明会を開催します。製品の概要や簡単な説明は営業でも実施できますが、詳細な説明はアプリケーションスペシャリストが担当します。
自社製品の説明用資料作成&配布
顧客から要望された製品に関する資料を提供します。既存資料で顧客のニーズが満たせない場合はカスタマイズすることがあり、製品知識に富んでいるアプリケーションスペシャリストが監修・作成します。
新規顧客への販促アプローチ
製品を売るのは営業ですが、顧客のマインドブロックを破壊するのはアプリケーションスペシャリストの役目。具体的には、自社製品を使うことで解消できる悩み・実現できる未来を実運用に沿って提案します。医療機関の実際を営業は知らないため、真のニーズはアプリケーションスペシャリストしか読み解けません。
エンジニアと重なる業務内容

医療機器の軽微な修理・調整
エンジニアは定期点検・突発的な修理でスケジュールに余裕がありません。そのため、医療機器の部分的な位置調整や部品交換程度なら、事前にエンジニアから説明を受けてアプリケーションスペシャリストが対応することもあります。
ソフトウェアのバージョンアップ
医療機器のソフトウェアはバグ修正目的で定期的にバージョンアップされます。ソフトウェアは医療機器の制御に重要なため基本的にはエンジニアが実施しますが、軽微なバージョンアップ程度ならアプリケーションスペシャリストが対応することもあります。
ハード(機器)面のトラブル時の対応
トラブル時の修理・部品交換は原則エンジニアの出番ですが、修理後の評価は実際に医療機器を動かさないと評価できません。そのため、エンジニアの作業が終了した後にアプリケーションスペシャリストが医療機器を実際に動かしてトラブルが解消しているかを確認します。
アプリケーションスペシャリストになるメリット
高年収
手厚い福利厚生
年間休日120日以上
スーパーフレックス
直行直帰
テレワーク・在宅勤務
ヘルスケア業界は人口高齢化に伴い今後も市場は間違いなく拡大していくでしょう。
また、医療機器のAI化促進の流れもあり、これまでヒトが行っていたことがどんどん機械に代替されていくため、医療機器メーカーの売り上げは増加の一途を辿るはず。
会社の売り上げがアップするため社員の年収アップ、福利厚生の充実が見込めます。
また、ヘルスケア業界の企業は労働条件も優良でかなり働きやすいです。
スーパーフレックス
『1日の労働時間が○時間』という考え方ではなく『月間の総労働時間が○時間』と言う考え方で、月間の総労働時間をクリアするなら始業時間と就業時間を自分で自由に決めれる制度です。働く日はきっちり働いて働かない日は短時間で業務を終えるなど、メリハリある働き方が実現できます。なお、『スーパー』の由縁はコアタイム(○時から○時は必ず働きなさいという時間)の設定がないことです。
直行直帰
フィールドサポートメンバーは外勤者の扱いになるため、出先の施設で業務を終えたら帰社する必要はなく、そのまま自宅に帰れます(直帰)。また、後述するテレワーク・在宅勤務が常態化しているため、自宅から直接施設に迎える直行制度も導入されています。
テレワーク・在宅勤務
外資系企業の場合、どこでもできる内勤業務はわざわざ会社に出社して行う必要はないと考えており、テレワーク・在宅勤務を積極的に推奨しています。むしろ、『用がないなら会社に来るな』と言われることもあり自宅でできることは自宅で行うよう指導されます。
アプリケーションスペシャリストのキツい・辛いこと

アプリケーションスペシャリストがキツい・辛い理由
長時間労働(休日出勤・深夜作業)
高ストレス
答えが存在しない問題への取り組み
医療機器メーカーは医療機関を顧客に持つ企業なので、顧客からの要求事項も厳しく体力面・精神面の両方が消耗します。
企業のアプリケーションスペシャリストが辛い3つの理由と解決策で解説しているので詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
アプリケーションスペシャリストのキツい・辛いことは未経験からアプリケーションスペシャリストになるには?
- アプリケーションスペシャリストになるために最も必要なものは『ハート』
- アプリケーションスペシャリストに対する熱量が不足していると判断されると採用は難しい。
- 熱量が少ないと繁忙期にメンタルをやられる可能性が高い。
- 一人前に育てるためのコストを考慮すると、やる気があって長く勤める人材を採用する。
- アプリケーションスペシャリストになるには『タイミング』も重要
- 求人が出るタイミングは事業拡大または欠員の補充のどちらか。
- 未経験から転職できるのは可能性が高いのは欠員補充の場合。
- 欠員はいつ出るか不明なため、転職市場に長く身をおくことが重要。
アプリケーションスペシャリストになるための具体的な方法はアプリケーションスペシャリストになるには?未経験から転職する極意で解説しているため詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
医療機器メーカー以外の選択肢は?臨床検査技師の就職先候補になる企業・職種を比較
- 胚培養士
- 労働条件・業務内容・年収は臨床検査技師と同水準だが『不妊』領域の専門性が身に付く。
- 患者とコミュニケーションを取る機会も多いため向き・不向きがある。
- CRC
- 患者対応・事務作業など複数のタスクを同時にこなす『マルチタスク能力』が開発される。
- フレックスタイムや時短勤務など家庭状況に応じて柔軟な働き方が実現できる。
- アプリケーションスペシャリスト
- 顧客サポートがメインの業務であり、対応する顧客によっては大きなストレスが発生する。
- 企業は成果主義であり自分の頑張り次第で年収が大幅にアップできる。
- メディカルアフェアーズ
- 最新医学に対する深い知見が得られる。
- アカデミックな職種でありその分野のKOLと同等以上の知識が必要なため難易度が高い。
- 研究職
- 市場ニーズに応える新製品を開発できるためやりがいを感じる機会が増える。
- 学位取得者・研究経験保持者など求人に応募できる人材が限られる。
臨床検査技師の資格を持っていれば他職種へ転職する選択肢も案外多いです。
各職種の業務内容や勤務条件を詳しく知りたい方は臨床検査技師から転職できる!年収500万円確定の5つの他職種とは?で詳細に解説しているのでチェックしてみてください。