アプリケーションスペシャリストとは医療機器メーカーに所属する職種で、主に以下の2つの業務を担当します。
既存顧客のオペレーションをサポート
エンジニア、コールセンターと連携して新規顧客を獲得する
営業・マーケティング部門と連携して学術的な側面と営業的な側面を併せ持つため『学術営業』とも呼ばれ、顧客との強固な関係性構築に欠かせない医療機器メーカーのキーポジションです。
この記事では、外資系医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストとして4年間勤務していた私が、本職種の業務内容を詳しく解説します。
アプリケーションスペシャリストに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
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アプリケーションスペシャリストってどんな職種?

アプリケーションスペシャリストは医療機器メーカーに属する職種で、営業やエンジニアと協働しながら既存顧客のサポート・新規顧客の獲得を目指すフィールドプレーヤー(外勤者)です。
アプリケーションスペシャリストは「フィールドサイエンティスト」「クリニカル・リエゾン」「メディカル・サイエンス・リエゾン」「クリニカル・スペシャリスト」などとも呼ばれることがありますが、フィールドサポート業務のうち営業・エンジニア業務以外の全ての業務を担当するポジションと思ってもらって大丈夫です。
アプリケーションスペシャリストの業務内容は?

営業・エンジニア・アプリケーションスペシャリストは独立した職種のため、基本的にはそれぞれが担当する業務は異なります。
ただし、アプリケーションスペシャリストに限っては業務内容が営業ともエンジニアとも重なる部分があるため、活動範囲が営業的な側面とエンジニア的な側面の両方を合わせ持つことになります。
アプリケーションスペシャリスト単独の業務内容

アプリケーションのセットアップ
医療機器の動作は専用のソフトウェアで制御しています。エンジニアは装置を設置・各部の位置調整までしか実施できないため、アプリケーションの登録・設定をアプリケーションスペシャリストが実施します。
医療機器のデモ・データ取り
医療機器納品後はすぐにルーチン測定できる状態で顧客に渡すため、アプリケーション登録後の装置が問題なく動作するかテストします。その際、顧客の要望に応じて各種データ取りを行うこともあります。
操作・メンテナンストレーニング
医療機器を初めて使用する顧客に対して、測定方法・メンテナンス方法を実機で説明します。説明用資料は会社が作成しているので、資料に沿って順番に解説していく感じです。
データトラブル対応
装置トラブルはエンジニア、データトラブルはアプリケーションスペシャリストが担当します。データトラブルの原因は装置の不良、もしくは顧客のオペミスのどちらかなので、回収したデータを分析して原因を特定します。
営業と重なる業務内容

アプリケーションスペシャリストの業務内容
既存顧客の問い合わせ対応
基本的に顧客の窓口は施設担当の営業ですが、製品の詳細な情報提供や学術的な問い合わせは営業では対応できないことがあります。その際、資料提供や補足説明で営業をサポートしたり、場合によってはアプリケーションスペシャリストが顧客先に出向いて直接回答するケースもあります。
各種勉強会・説明会の開催
医療機関では定期的にメーカーが勉強会を開催していると思いますが、その勉強会の講師を担当します。テーマは医療機関から要望があった内容になるため多種多様ですが、最終的には自社製品のプロモーションに結びつけるため、基本的には自社製品と関連する領域の疾患勉強会になります。
自社製品の説明用資料作成&配布
顧客から要望があった製品に関する資料を作成・提供します。よくあるのは自施設専用の簡易マニュアル作成。日勤者や当直者が装置を使用する場合、公式マニュアルだとボリュームがあり過ぎるため、必要な部分だけを抜粋したものの提供依頼があります。
新規顧客への販促アプローチ
製品を売るのは営業ですが、顧客のマインドブロックを破壊するのはアプリケーションスペシャリストの役目。具体的には、自社製品を使うことで解消できる悩み・実現できる未来を実運用に沿って提案します。営業は医療機関のリアルを知らないため、真のニーズはアプリケーションスペシャリストしか読み解けません。
エンジニアと重なる業務内容

医療機器の軽微な修理・調整
装置を分解したり、複雑な部品を交換したり等の大掛かりな作業はエンジニアが行いますが、部分的な位置調整や簡単な部品交換はアプリケーションスペシャリストが対応することもあります。
ソフトウェアのバージョンアップ
医療機器はバグ取り目的で定期的にソフトウェアのバージョンアップがあります。ソフトウェアのバージョンアップは装置の動作に大きく影響するため、基本的にはエンジニア対応になりますが、軽微なバージョンアップならアプリケーションスペシャリストが対応することもあります。
ハード(機器)面のトラブル対応
医療機器の修理・部品交換は原則エンジニアが対応しますが、修理後の評価(修理によって本当に正常に動作するようになったのか)は実際に装置を動かしてみないと分かりません。そのため、エンジニアの作業が終了した後にアプリケーションスペシャリストが装置を動かしてトラブルが解消しているかを確認します。
アプリケーションスペシャリストのキツい・辛いこと

アプリケーションスペシャリストがキツい・辛い理由
長時間労働(休日出勤・深夜作業)
高ストレス
答えが存在しない問題への取り組み
アプリケーションスペシャリストは会社と顧客の板挟みになることがよくあります。
例えば、顧客の要望に対して本社の回答が『No』だった時。
なんて回答しようかめっちゃ悩みます。
企業のアプリケーションスペシャリストが辛い3つの理由と解決策で解説しているので詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
アプリケーションスペシャリストのキツい・辛いことは未経験からアプリケーションスペシャリストになるには?
未経験からアプリケーションスペシャリストになるには以下の3つの方法があります。
転職サイトで探す
転職エージェントに紹介してもらう
担当営業に紹介してもらう
転職サイトで探す
DODAやIndeedなど、ヘルスケア業界の求人を扱っている転職サイトを探せば見つかると思います。
業務内容や労働条件が求人サイトである程度確認できるため、自分のペースでゆっくり探したい方にはおすすめの方法です。
ただし、自分で探すという手間がかかること、転職エージェントを経由しないため書類選考の通過率が落ちるなどといったデメリットがあります。
転職エージェントに紹介してもらう
アプリケーションスペシャリスト求人は求人を出している企業に特別な意図がない限り100%転職エージェントで扱っています。
この理由は求職者に提示される年収の金額が大きく、転職エージェントが儲かるから。
少しでも採用される見込みあるなら、バンバン求人を紹介してくれるので探す手間が掛からず助かります。
ただし、ヘルスケア業界に特化した転職エージェントでなければ的外れな求人を紹介されるのが関の山。
転職エージェントは儲かるし、求職者は無料で手厚い転職サポートを受けれるし、まさにWin-Winの関係です。
担当営業に紹介してもらう
なんやかんやでこの方法が1番ラクで採用される可能性が高いです。
いわゆるコネ入社。
この場合、(業務について行けなくて)入った後が地獄になることもありますが、入ってしまえばこっちのもの。余程の事件を起こさない限り解雇されることもありません。
今出入りしてる業者と話ができるなら、興味本位で『今って求人あります?』と聞いてみるのもありでしょう。
まとめ:アプリケーションスペシャリストに転職して退屈な毎日から脱却しよう!
アプリケーションスペシャリストは決まった業務の繰り返しではなく、常に新たな課題と向き合い続けるため、マンネリ化して退屈に感じることはありません。
今の仕事が同じことの繰り返しでつまらない
いろんな人・職種と関わる仕事がしたい
医療機関の外の世界を見てみたい
これらに該当する方にはピッタリな職種です。
とはいえ、希少性の高い職種なので年中求人が出ているとも限りません。
お目当ての求人を見つけたら、ライバルに先をこされないように早めに応募しておくことをおすすめします。