アプリケーションスペシャリストへの転職で優遇されるスキル・経験
アプリケーションスペシャリストには特別な資格を持たなくても転職できますが、求人へ応募するには各企業で設定されている応募条件を満たしている必要があります。
アプリケーションスペシャリストへの応募に必要な要件は以下の3つです。
- 応募先企業が扱う検査領域の医療機器・検査機器の操作経験
- 応募先企業が扱う検査領域の検査実務経験
- 応募先企業が扱う検査領域の基礎・応用知識
必ずしも3つ全てを満たす必要はありませんが、該当数が多いほど転職成功率は高くなります。
応募先企業が扱う検査領域の医療機器・検査機器の操作経験
前提として企業が転職組(中途社員)に求めることは『即戦力』です。
そのため、入社後は最小限のトレーニングを終えるとすぐに現場に出されます。
とはいえ、アプリケーションスペシャリストはニッチな職種なので経験者を採用できる可能性は限りなく低いです。
経験者の採用が難しい背景から未経験者の中でも自社製品のオペレーション経験を有する人材を優先的に採用するという訳です。
転職エージェントを利用するならオペレーション経験は応募に必須の条件です。
応募先企業が扱う検査領域の検査実務経験
2つ目の要件は医療機器を使った実務経験を有していることです。
前項と同じでは?と思われたかもしれませんが、本項には検査結果の確認・承認作業が含まれます。
アプリケーションスペシャリストの業務は実務担当者が相手です。
そのため、実際の検査の流れを知らなければ話にならないことが多々発生します。
アプリケーションスペシャリストは会社の中で最も現場の実情に詳しくなければなりません。
検査素人の営業と検査のプロである現場担当者をうまく橋渡しするのがアプリケーションスペシャリストの大きな役目。
この役目を全うするためには現場担当者と同じ水準の検査知識が要求されるため検査実務経験者は採用で有利になります。
応募先企業が扱う検査領域の基礎・応用知識
上述した2つの要件に加えて、応募先企業の医療機器が担当する領域・分野の深い検査の知識を有していれば更に採用の確度は高まります。
この理由はユーザーからの問い合わせ対応もアプリケーションスペシャリストのメイン業務の1つだからです。
ユーザーは医療機器・検査機器の販売元企業はその領域に深く精通しており、どんな問い合わせにも答えてくれると思っている傾向があります。
この傾向は検査の実務担当者だけでなく検査結果で診療を行う医師にも同じことがいえます。
つまり、アプリケーションスペシャリストはオペレーションに長けていることと同時に医師とも対等にディスカッションができるレベルのアカデミックな能力も要求されます。
もちろん、企業によって身につけるべき知識が異なるため入社前に企業社員と同レベルの知識を身につける必要はありません。(というかそんなことは不可能です。)
製品に紐づく深い知識は企業入社後に身につければ良い話で、入社前の段階では検査領域全般の知識が並以上であることを示せばOKです。
証明方法は『資格』を取得すること。
臨床検査技師なら二級検査士、一級検査士、認定技師の資格を取得することで専門性と信頼性を示せます。
アプリケーションスペシャリストへの転職で優遇される6つの要件
ここからご紹介する経験・スキルは求人への応募に必須ではありませんが、身につけることでライバルより優遇されて採用の確度を高められます。
プレゼンスキル
業務改善・運用改善の経験
コミュニケーションスキル
ビジネスマナー
アプリケーションスペシャリストの実務経験
スケジュール管理能力
アプリケーションスペシャリスト求人への応募に必須の要件を満たしているなら転職成功率を高めるために上記6つの要件をクリアしてください。
プレゼンスキル
医療機器メーカーの主なセールス担当は営業ですが、アプリケーションスペシャリストも売上アップに貢献する活動を行います。
営業にはできなくてアプリケーションスペシャリストにできる売上アップの活動はユーザーの悩みを自社製品で解消できることを訴求するプレゼンを行うことです。
医療機器を新たに導入してもらうためにはユーザーが現在抱えている悩みや問題を自社製品を使って解消できることを訴求しなければなりません。
具体的には、現在の悩みを洗い出すために検査現場を見学して業務調査や運用調査を行い、得られた情報を元に自社製品を盛り込んだ業務改善・運用改善案をプレゼンします。
営業は検査の実際を知らない人が多く、提案内容は上っ面だけの薄っぺらいものになりがちです。
ユーザーにインパクトを与える提案ができるのは検査の実情を社内の誰よりも詳しく知っているアプリケーションスペシャリストなのです。
あとはプレゼンスキルさえ身につければ希少価値の高い、医療機器メーカーが喉から手が出るほど欲しがる人材になれます。
プレゼンが苦手という方はこちらの記事で紹介している書籍を読んでみてください。

正しく学べば確実にプレゼンスキルは上達します。
プレゼンスキルは職務経歴書に実績(これまでのプレゼン経験)を記載すれば評価してもらえます。
業務改善・運用改善の経験
上述の通り、ユーザーは今抱える悩みを解消するために新たな医療機器の導入を検討します。
そして、この解消すべき悩みは潜在化していることが多く自分たちだけでは気づけていないことが多々あります。
メーカーは自社製品で顕在ニーズを解消できることを訴求しつつ、付加価値として潜在ニーズを気付かせて解消できることまで提案すれば高確率で新規施設を獲得できます。
潜在ニーズは医療機関ごとに多種多様とはいえ根幹はどの施設も『臨床から文句を言われないこと、自分たちがラクになること』の2点。
この2点を各医療機関ごとに最適化して提案するには、自分の過去の経験を含めることが極めて有効。
メーカーが売りたいだけの机上の空論ではなく、実際の業務改善・運用改善による効果を示すことで説得力が格段に増しユーザーの購買意欲を促せます。
業務改善・運用改善の経験は職務経歴書に過去の実績を記載すれば評価してもらえます。
コミュニケーションスキル
医療機器メーカーの社員は大きく外勤者と内勤者の2パターンに分かれます。
もちろんアプリケーションスペシャリストは外勤者に分類されるため、基本的には顧客先に出向いて業務を行うことになります。
外勤者の中でもフィールドエンジニアは対装置の職種なためコミュニケーションスキルより技術・スキルを求められますが、アプリケーションスペシャリストは対ヒトの職種なので技術・スキルと同じ水準でコミュニケーションスキルが求められます。
下記のような方はコミュニケーションスキルが低いとみなされるためご自身の立ち振る舞いには十分注意してください。
- 人の話を最後まで聞かない
- 相手の反応を無視して話を進める
- 「でも」「それはわかりますが」と話を否定する
- 話題の引き出しが少ない
- 視線が合わない
- 何となく話づらい雰囲気がある
- 話が噛み合わない
なお、コミュニケーションスキルは職務経歴書だけでは判断できないため面接でアピールするのが一般的。
このように思われている方は要注意。
実は転職エージェントとの初回面談時にコンサルタントからコミュニケーションスキルを評価されており『難あり』と判断されればそもそも求人が送られてくることがありません。
ビジネスマナー
医療機関出身者が一般企業に転職して社内で最も問題視される頻度が高いのが「ビジネスマナー」です。
医療機関は外部の人間とやり取りする機会に乏しいことと、そもそも顧客対応という概念が存在しないことから基本的なビジネスマナーが抜け落ちている人が非常に多いです。
- ビジネスメールの書き方
- 電話の応答マナー
- ユーザーに対する言葉遣い
- オフィスカジュアル等の身だしなみ
- 名刺交換の作法
- 報告・連絡・相談
- 時間にルーズ
医療機関と一般企業ではマナーの尺度が全く違うことはご理解いただき、可能な限り上記7点のマナーを習得しておいてください。
ビジネスマナーについては転職エージェント・企業人事との面談時や職務経歴書だけでは判断できないため入社してから問題になるケースが圧倒的に多いです。
ビジネスマナーは入社を左右する要因ではありませんが、入社後にお互いが苦労しないためにも習得必須のスキルです。
アプリケーションスペシャリストの実務経験
現職がアプリケーションスペシャリストならこれまでに説明した経験・スキルが身についているとみなされるため、医療従事者と比べると遥かに採用される可能性が高くなります。
医療従事者は看護師・医師・薬剤師でない限り簡単には転職できない時代ですが、企業に一度でも就職すると競合他社への転職は比較的簡単に達成できます。
将来の選択肢を増やすためにも、早いうちから一般企業へ転職することをおすすめします。
【参考情報】
大手医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストになれたら、次のキャリアとして外資系ベンチャー企業への転職も視野に入ります。
外資系ベンチャー企業は限られた超ハイスペック人材しか応募権が与えられない希少価値の高い求人です。

スケジュール管理能力
アプリケーションスペシャリストの業務スケジュールは全て自己管理です。
会社から与えられるのは『タスク』と『期日』で、どこの施設でいつ何の業務を実施するかは全て自分の采配でき決める必要があります。
具体的には、タスクを『優先度』と『重要度』の2つの視点からグループ分けして、自分が今やるべきことを明確化します。

この中で、最も優先度が高いタスクは『A』の業務であり、2番目に優先度が高い業務は顧客への影響を考えると『C』です。
重要なことは『A』のタスクも『C』のタスクも前段階である『B』『D』の状態があるということです。
人間の心理として緊急度が低い業務はどうしても後回しになりがちですが、本来は重要性が高い業務を緊急度が低い状態で完了させなければなりません。
『B』『D』の業務を『A』『C』に移行させないためにも俯瞰的な視点でスケジュール管理することが大切です。
アプリケーションスペシャリストの1日と1週間のスケジュールをもう少し詳しく知りたい人はこちらの記事をチェックしてみてください。

【番外編】外資系企業のアプリケーションスペシャリストになるためには英語力は必要?
このように思われている方も多いと思いますが、結論は大手外資系企業なら英語力が不要なことが多いです。
大手外資S社 | 基礎レベル以上の英語力 |
---|---|
大手外資B社 | 英文マニュアルを読めるレベル |
大手外資C社 | 中級以上 |
大手内資O社 | 不問 |
大手内資R社 | 英文マニュアルを読めるレベル |
ベンチャー外資C社 | ビジネスレベル |
---|---|
ベンチャー外資I社 | 英語でコミュニケーションが取れるレベル |
ベンチャー外資M社 | 中級以上 |
ベンチャー外資T社 | ビジネスレベルの英語力 |
上述の通り外資系だから英語が必須ということはありませんが、各企業で求められる英語力は大きく異なります。
外資系ベンチャー企業を希望する場合は高い英語力が要求されます。スクールなどを活用して『英語でコミュニケーションが取れる』レベルまで仕上げておきましょう。
外資系ベンチャー企業で求められる条件・経験・スキルはこちらの記事で詳細に解説していますので必要に応じてチェックしてみてください。

とはいえ、大手外資系企業でも”ライバルの質”によっては英語力が要求されるケースもあります。
英語力を鍛えて損をすることはありません。余力があるなら積極的に能力開発しましょう。
アプリケーションスペシャリストに必要な経験・スキル・条件のまとめ
アプリケーションスペシャリストに必要な経験・スキル・条件をまとめます。
- 応募に必須の3つの条件・経験・スキル
- 応募先企業が扱う検査領域の医療機器・検査機器の操作経験
- 応募先企業が扱う検査領域の検査実務経験
- 応募先企業が扱う検査領域の基礎・応用知識
- 応募で優遇される6つの条件・経験・スキル
- 日常検査の業務改善・運用改善経験
- プレゼンスキル
- コミュニケーションスキル
- ビジネスマナー
- アプリケーションスペシャリストの実務経験
- スケジュール管理能力
この記事で解説した経験・スキル・条件を満たせばほぼ確実にアプリケーションスペシャリストにはなれます。
とはいえ、全ての条件を満たしていなくても採用の可能性は十分考えられますが、いずれも入社後には必ず要求される能力です。
余裕がある間に準備を進めながら求人情報を収集し、チャンスがきたらいつでも飛びつけるようにしておきましょう。
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