- この記事の根拠
- ・筆者は5回の転職経験があり、臨床検査技師の実務経験と4社の企業経験を持ちます。
- ・複数の企業で働いた経験がある臨床検査技師だからこそ紹介できる企業転職のメリットや具体的な転職手順を解説します。
最近ではタスクシフト・シェアの推進やISO関連業務の増加、人口の高齢化に伴う業務負担の増加が引き金で企業に転職する若手・中堅技師が増えています。
この記事では、10年以上の企業経験を持つ臨床検査技師が、自身の体験談をベースに企業に転職するメリットや企業に転職する具体的な手順を解説します。
病院で働く臨床検査技師が企業に転職することは珍しいことではありません。
本記事が企業への転職に興味がある検査技師の参考になれば幸いです。
臨床検査技師が企業転職を目指す背景とメリット
臨床検査技師が企業に転職するのは、苦労して手に入れた国家資格を返上するような行為です。
なぜ、多くの臨床検査技師がそのような代償を払ってまで企業に転職するのか解説します。
臨床検査技師が企業で働く選択をする理由
- 大病院でのISO関連業務・タスクシフトによる業務量の増加
- 中小病院でのマルチタスクによる業務量の増加
- 病院統廃合による働く場所の減少と待遇の劣悪化
- 検体系技師の需要低下
これらの理由から臨床検査技師に見切りをつけた若手・中堅技師が企業へ転職しています。その他、臨床検査技師資格を取得後に新卒で企業に入社する方も増えている印象です。
加えて、企業に転職することで得られるメリットの大きさも影響しています。
企業転職のメリット
- 年収の大幅な向上
- 休日の増加
- 働きやすさの向上
- 手厚い福利厚生
- キャリアの多様性
年収の大幅な向上
臨床検査技師の平均年収は、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると約508万円です。この金額は技師長や科長の年収も含まれているため、主任以下の平均年収は400万円程度に留まります。
企業に転職すれば最低でも年収450万円、頑張り次第では30代前半で年収1000万円も夢ではありません。
休日の増加
年間休日は110日あれば良い方の医療機関に対して、企業は完全週休二日制、お盆休みや特別休暇を含め年間休日は125日程度。毎週土日が休みになるので週末はプライベートの時間を存分の楽しむことができます。
働きやすさの向上
在宅勤務・テレワーク制度による自宅での業務、フレックスタイム制度・みなし時間制度の適応による始業・終業時間の自由、検査業務のように持ち場に拘束されることもありません。
手厚い福利厚生
資格手当、扶養手当、住宅手当、昼食手当、外勤手当、在宅勤務手当などの各種手当の他、企業型確定拠出年金、持ち株会制度、福利厚生クラブ会員特典、保養所の利用、高額医療費の付加給付など、数え切れないほどの手厚い福利厚生を受けることができます。
キャリアの多様性
臨床検査技師だと一握りの技師が管理職になれる程度ですが、企業に入社した後のキャリアプランはマネージャー、スペシャリスト、社内公募による別職種への転籍、上位互換企業への転職など千差万別です。
臨床検査技師が活躍できる企業の職種・業界
臨床検査技師が持つ検査の知識や技術は医療業界・ライフサイエンス業界・ヘルスケア業界の企業から特に高い需要があります。
臨床検査技師の需要が高い具体的な企業と各職種の業務内容をご紹介します。
臨床検査技師の需要が高い企業
- 臨床開発メーカー
- 検査機器メーカー
- 検査試薬メーカー
- ヘルスケアテクノロジー企業
臨床開発メーカー
「治験」には製薬メーカー、医療機関の他に2つの企業が関わっています。
- 治験施設支援機構(SMO)
- ・医療機関の治験業務をサポートする機構。医療機関への治験案件の紹介や治験コーディネーター(CRC)の派遣が主な役割。
- 医薬品開発業務受託機関(CRO)
- ・製薬メーカーの治験業務をサポートする機構。医療機関への治験案件の紹介や臨床開発モニター(CRA)による治験の進捗管理が主な役割。
これらの企業が臨床検査技師から転職できる臨床開発メーカーに該当します。
検査機器メーカー
- 日立・日本電子・東芝キャノンメディカル・ベックマン(生化学)
- ロシュ・アボット・シーメンス・東ソー(免疫)
- シスメックス・ベックマン(CBC)
- アークレイ(血糖)
- 積水メディカル・シスメックス・PHC(凝固)
- オーソ(輸血)
- キャノン・オリンパス・シーメンス・GE(超音波)
- キャノン・GE・シーメンス・フィリップス(MRI)
上記のような検査機器を製造・販売するメーカーが該当します。
検査試薬メーカー
- シノテスト
- 富士フィルム和光純薬
- 関東化学
- ニットーボー
- 積水メディカル
上記のような生化学検査用の試薬を製造・販売するメーカーが該当します。
ヘルスケアテクノロジー企業
- オムロン
- メドレー
- エムスリー
- メディカルノート
- メドピア
- バイオベンチャー
ヘルスケアテクノロジー(HealthTech)とは、健康(Health)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、ヘルスケアや医療とテクノロジーを融合して新たな価値を創造する取り組みを指します。AIやIoT、ウェアラブルデバイス、クラウドなどさまざまなデジタル技術が活用されています。
また、ヘルスケア関連の事業者には、フィットネスジムや生命保険、健康食品、ドラッグストアなど、ヘルスケア関連の商品やサービスを提供している事業者も含まれます。
各業界での職種紹介と仕事内容
企業では営業・技術職など、多くの職種が存在します。上記で解説した企業のうち、臨床検査技師が活躍できる職種と業務内容の一例をご紹介します。
臨床開発メーカー
- 治験コーディネーター(CRC)@治験施設支援機構(SMO)
- 医療機関の治験業務をサポートする職種。主な業務内容は下記の通り。
・治験開始前の資材準備
・治験開始後の被験者スクリーニング
・治験スケジュールの管理
・治験報告書の作成支援
・電子症例報告書(EDC)の入力
・直接閲覧(SDV)対応
・重篤な有害事象(SAE)発生時の対応
・治験終了報告書の作成
・治験終了後の監査対応 - 臨床開発モニター(CRA)@医薬品開発業務受託機関(CRO)
- 製薬メーカーの治験業務をサポートする職種。主な業務内容は下記の通り。
・治験参加全施設の案件管理
・治験参加スタッフ(医師・看護師・薬剤師等)への説明とトレーニング(スタートアップミーティングの開催)
・電子症例報告書の入力内容チェック
・電子症例報告書とカルテ記載内容の整合性確認(SDV)
・治験責任医師への治験進捗報告
検査機器メーカー
- 営業(DMR)
- 検査機器を医療機関に提案・販売する検査機器メーカーの顔。主な業務内容は下記の通り。
・検査機器のプロモーション(プレゼン)
・見積書の作成と提出
・機器搬入設置の日程調整と立ち合い
・担当施設のルート営業(定期訪問)
・機器トラブル発生時の一次対応とハンドリング - フィールドエンジニア
- 検査機器専門のエンジニア。主な業務は下記の通り。
・検査機器の搬入立ち合い
・設置、各部の調整、動作確認
・定期メンテナンス
・機器トラブル時の修理
・定期訪問 - アプリケーションスペシャリスト(専用機専用試薬メーカーのみ)
- 検査機器のアプリケーション担当。メーカーによってメディカルサイエンスリエゾン、技術担当、学術営業と呼び名が様々。主な業務は下記の通り。
・運用の提案
・新規検査項目のパラメータ設定、ランニング業務
・基礎検討
・報告書の作成と提出
・データトラブル時の二次対応
・定期訪問
検査試薬メーカー
- 営業(DMR)
- 体外診断用医薬品(検査試薬)を医療機関に提案・販売する検査試薬メーカーの顔。主な業務内容は下記の通り。
・検査試薬のプロモーション(プレゼン)
・見積書の作成と提出
・試薬セットアップの日程調整と立ち合い
・担当施設のルート営業(定期訪問)
・トラブル発生時の一次対応とハンドリング - アプリケーションスペシャリスト
- 検査試薬メーカーのアプリケーション担当。メーカーによってメディカルサイエンスリエゾン、技術担当、学術営業と呼び名が様々。主な業務は下記の通り。
・測定項目のパラメータ設定とランニング業務
・基礎検討
・報告書の作成と提出
・データトラブル時の二次対応
ヘルスケアテクノロジー企業
- 研究開発
- 臨床検査技師の知識と経験を活かしてコンシューマ向けサービスの開発を行います。主な業務は下記の通り。
・国内外の文献検索による情報収集
・特許情報の検索
・実験計画書の作成
・実験用資材、試薬の発注
・実験ノートへの実験結果の記録
・実験結果の報告 - プロダクトリード
- 臨床検査技師の知識と経験を活かしてコンシューマ(一般消費者)向け検査サービスの設計と市場投入(ローンチ)を行います。主な業務は下記の通り。
・キックオフからローンチまでの進捗管理
・開発、マーケティング、資材の準備状況の確認と指示
・隙間業務のフォロー - 検査受託業務
- コンシューマ向けの検査業務を行います。主な業務は下記の通りです。
・行政検査(HPV、COVID-19など)
・RT-PCRによる遺伝子(SNP)検査
・NGSによる腸内フローラ検査
・メディカルフィットネスジム関連の血液検査
・LC-MS、GC-MSによる各種成分解析
各職種の具体的な業務内容や求人を紹介してくれるおすすめサイトは下記の記事で解説しているので参考にしてください。
企業で求められるスキルと転職後のワンポイントアドバイス
臨床検査技師の経験やスキルが重宝されるとはいえ、医療機関(検査室)と企業では要求されるスキルに大きな違いがあります。
ここでは、企業から広く一般的に要求されるスキルと企業に転職する際の注意点を解説します。
企業で重視されるスキル
- 報連相
- コミュニケーション力
- 地頭の良さ
臨床検査技師に比べ、企業では他者と交流する機会が圧倒的に多く、報連相やコミュニケーション力・地頭の良さが重要視されます。
各社で要求される専門的なスキルは入社後に教育でキャッチアップできますが、報連相・コミュ力・地頭の良さなどの本人の素質に依存する部分は教育では変えられないため採用時に重視されます。
転職後のポイント
細かな報連相を心掛ける
ルーチンワークに慣れており自力で困難を乗り越える癖がある臨床検査技師は報連相が苦手なことが多く、「なぜもっと早く相談してくれなかったんだ」と上司から叱責されることがあるかもしれません。報連相するか悩んだら、最初の1年間は全て報連相してください。
謙虚さをもつ
検査関連企業とはいえ、臨床検査技師の国家資格を持たない社員が全体の9割以上を占めます。また、検査技師時代にメーカーや代理店の営業から頼りにされた経験があるとどうしても自己評価が高くなり、チームメンバーや他部署の社員に対して傲慢な態度を取りがちです。どれだけ取り繕ってもふとした瞬間に滲み出ます。自分の方が検査に詳しいという自負があっても企業は社歴順。社歴が長い先輩社員に対する尊厳を失ってはいけません。
ちなみに、大手企業の社員は国公立の院卒が基本。臨床検査技師より遥かに高学歴な化け物ばかりです。
決してイキってはいけません。新卒の頃の気持ちを思い出しましょう。
サボれる時はサボる
臨床検査技師の業務が板についていると仕事をサボるという概念はありませんし、むしろ夕方に休憩室で雑談する技師を見ると「ちゃんと働け」と怒りが込み上げてくるでしょう。そのため、企業に入社後もサボるなんて言語道断、誰も見ていない時でも全力で働くという方が多いです。でも、残業時間が検査技師より長い企業でその働き方をするとガス欠になって長くは持ちません。臨床検査技師は常に一定のアウトプットが求められますが、企業は時に臨床検査技師をはるかに凌駕するアウトプットが求められる場面があります。だからメリハリが大事。休める時はしっかり休んで、いざというときに120%の力を出せる社員が企業では評価されます。
企業転職に向けた準備
企業への転職を決断したら、実現に向けてしっかり準備しましょう。
具体的に何を準備したら良いのか?について解説します。
自己分析による転職理由の明確化
転職活動を開始したら複数の企業求人に応募することになりますが、どの企業でも必ず聞かれるのが「なぜ臨床検査技師を辞めて企業で働きたいのか?」。
多くの方が「年収アップ・待遇改善・臨床検査技師の将来性が不安」などのネガティブな要素と「新たなフィールドで自分の力を試したい・病院で培ったスキル・経験で多くの人々に貢献したい」などのポジティブな要素があるハズです。
まずは、自己分析により「なぜ臨床検査技師を辞めて企業で働きたいのか?」の問いに対する回答を言語化できるようにしましょう。
想定外の質問で戸惑うこと避けるためにも、考えた回答に対して「なぜ?」を2〜3回程度繰り返して回答を深掘りしてください。
キャリアアドバイザーへの相談やAIとの壁打ちで転職理由を深める手法もおすすめです。
履歴書・職務経歴書の準備
職務経歴書の志望動機や自己PRは応募企業に応じてカスタマイズすべきですが、職務経歴や保有資格、保有スキルはあらかじめ作成しておける部分です。
経歴を棚卸しすることで自身のキャリアを見つめ直せますし、転職サイトや転職エージェント登録時の作業が楽になります。
職務経歴書・履歴書作成のポイント
- 履歴書・職務経歴書は電子ファイルで作成する
- 和暦・西暦の表記は統一する
- 履歴書には写真を貼り付ける
- 貼り付ける写真はスマホ・デジカメで自撮りしたものは避ける
- フォーマットは自作したものではなくテンプレートを利用する
- 文章はPREP法を用いて結論ファーストで書く
臨床検査技師のスキルが企業でどのように活かせるかを強調する
職務経歴書ではメリットではなくベネフィットを訴求してください。
「〇〇の経験があります。」ではなく、「〇〇の経験を活かし、貴社では△△に貢献できます。」という書き方をすることで、企業にあなたを採用するメリットを明確に訴求できます。
職務歴書の具体例を紹介
筆者のプロフィールを参考にしてください。
実際の転職活動で使用していた職務経歴書の内容を転載しているため参考になると思います。
エクセルやワードなどの電子フォーマットは転職サイトや転職エージェントに登録すると無料で提供してもらえます。
企業転職の具体的なステップと注意点
ここからは、企業に転職するための具体的な手順と応募時の注意点を解説します。
求人の探し方
- ハローワークではなく民間の求人サイトで探す
- キャリアアドバイザーのサポートを受けるために転職エージェントを活用する
ハローワークではなく民間の求人サイトで探す
ハロワは厚生労働省が運営するサービスのため企業は無料で求人を掲載できます。そのため、採用に予算を掛けれないような零細企業に当たる確率が高まります。
逆に、大手の優良企業はハロワに求人を出していないことがほとんどです。求人掲載は無料ですが国営サービスのため手続きがかなり煩雑で面倒なためです。
大手の優良企業求人を探すならハロワではなく民間の転職サイトを活用しましょう。
臨床検査技師から転職できる企業求人を探すなら「doda」と「エン転職」がサイトの使い勝手が良く求人数も多いのでおすすめです。
キャリアアドバイザーのサポートを受けるために転職エージェントを活用する
臨床検査技師の転職でおすすめの企業求人は年収水準がかなり高いため、転職エージェントでも扱っています。
転職エージェント経由で応募するとキャリアアドバイザーが求職者の魅力を客観的に評価した「推薦書」を添えてくれるため直接応募に比べ応募者の信頼性が高まります。
また、企業からすれば転職エージェントは「選別」の役割を持つため、意図していない求職者からの応募を未然に防ぐ効果もあります。
大手の優良企業に転職したい方は必ず転職エージェント経由で応募しましょう。
臨床検査技師から転職できる企業求人を探すなら「JACリクルートメント」と「リクルートダイレクトスカウト」がキャリアアドバイザーの質が高くおすすめです。
企業転職の注意点
- 高年収を提示する無名企業は地雷の可能性あり
- 企業サイトからの直接応募は高学歴者に限る
- 従業員の口コミ投稿サイトをチェックする
高年収を提示する無名企業は地雷の可能性あり
- 大手で年収600万円スタート ←わかる
- 無名で年収450万円スタート ←わかる
- 無名で年収600万円スタート ←???
無名で高年収を提示する企業はユニコーンか地雷です。
なぜ地雷かというと、高年収を提示しないと人が集まらない、もしくは早急に人を雇用しないと事業が立ち行かないのいずれか、もしくはその両方に該当する可能性があるからです。
それぐらい切羽詰まった状態の企業は将来性が不安ですし、福利厚生が皆無で年収も入社時のまま上がらないことがほとんどです。
何よりそのような企業に入社してしまうとメンタルがやられます。
ユニコーンと地雷を見分ける方法は企業サイトの確認と従業員の口コミをチェックすることです。
企業サイトを確認して存在しない、または何やってるかわからないなら地雷です。また、地雷企業の退職者はかなりの不満を持って会社を辞めるため、口コミが異常に低評価です。この後紹介する口コミ投稿サイトを調査して口コミが異常に低評価であれば地雷です。応募は避けましょう。
「直接応募の方が採用率が高い」は都市伝説
転職サイトや転職エージェントを経由した応募は手数料の分だけ採用コストが高くなるため、企業サイトから直接応募した方が採用されやすい。
こんな定説がありますが、これは採用に予算を割けない中小企業に該当することです。
大手の優良企業はお金がかかってでも優秀な人材を採りたいと考えているため、転職サイト経由・直接応募の違いで選考結果が変わることはありません。
欲しい人材なら転職サイト経由でも採るのが大手の優良企業です。
直接応募は誰もサポートしてくれないため転職活動の負担が増えます。できるだけ転職サイト・転職エージェントを活用しましょう。
従業員の口コミ投稿サイトをチェックする
ある程度規模が大きな企業なら上記のサイトに従業員の口コミが投稿されています。
従業員が投稿した社風・経営陣の評価・給与規定・ワークライフバランス・退職理由を閲覧できるため、応募前に変な口コミが無いか必ずチェックしてください。
失敗・成功転職事例の紹介
筆者は5回の転職経験を持ち、4社の企業経験があります。
その中で転職失敗と転職成功の両方があるので実例を紹介します。
転職失敗談:バイオベンチャー
転職理由
当時検査機器メーカーのアプリケーションスペシャリストとして勤務していましたが、業務時間が夕方以降になるため帰宅時間が遅くなる日が続き、第一子誕生のタイミングで職場が自宅の近くで、定時で帰れる企業で働きたかったためバイオベンチャーに転職しました。
業務内容
細胞培養、衛生検査所の管理運営、HPV-DNA検査、COVID-19のPCR検査、SNP検査、NGSによる腸内フローラ解析、LC-MSを使用したエクオール検査・GC-MSを使用した成分分析、超臨界抽出装置を使用した成分抽出など
転職失敗と感じた理由
業務ができる人材に偏りすぎていた
従業員の人数が少なく、社員一人あたりの業務領域が広すぎました。バイオベンチャーとはいえ、仕事ができない人材も多く在籍しており、それらの社員の皺寄せがこちらに来ました。
素人社長からの無理難題に疲弊する毎日だった
業務内容は研究開発に寄っており、臨床検査技師の範疇を超えていましたが、社長からの注文はその道のプロでも難しい無理難題ばかり。社長の専門は半導体であり、余剰資金でバイオベンチャーを立ち上げている経緯があるため、素人の発想で社員が振り回されていました。
入社後に会社の将来性に大きな不安を感じた
また、無名で福利厚生も皆無、年次昇給もない会社であり、元々在籍していた優秀な人材も次々と退職していったため、将来が不安になり約3年で転職することになりました。
会社の事業内容と従業員数が明らかに不釣り合いの場合、社員1名の業務量が不当に多い可能性があります。無名の企業へ転職を検討する場合は入念な情報収集が不可欠です。
転職成功談:検査試薬メーカー
転職理由
バイオベンチャーへ入社して転職に失敗したため。事業が安定していて福利厚生が充実した大手企業に転職しました。
業務内容
検査試薬のセッティング・基礎検討・報告書の作成
転職成功と感じた理由
業務内容が明確で頭脳労働ではなく肉体労働に近いため疲れるがやることは簡単。
年収水準が前職より圧倒的に高く、福利厚生も神。将来の安定が約束されているため、家庭持ちの私にとってはとてもありがたい環境でした。
個人に裁量権がない、業務内容が単調、保守的な社風がある、出る杭は打たれるなど、多くのデメリットがあるとされる大企業ですが腐っても鯛。中小企業を知る身としては天国のようなゆるい環境です。
まとめ
臨床検査技師を辞めて企業のサラリーマンになる選択は間違いではありません。むしろ年収や休日の多さ、福利厚生を重視する方は医療機関ではなく企業で働く方が幸福度は高くなるでしょう。
条件が良い無名の中小企業には注意する必要がありますが、大手の有名企業であれば地雷に当たる心配もなく、初めての企業転職でも安心です。
臨床検査技師から転職できる企業求人は多くの転職サイトや転職エージェントが扱っているため、積極的に利用して転職市場の最新の動向をチェックしておきましょう。
あなた自身の市場価値を知れるため、世間知らずにならなためにも転職サイト・転職エージェントは必ず利用しましょう。