臨床検査技師

【辞めてよかった】臨床検査技師の将来性の闇〜3つの残酷な真実〜

臨床検査技師はやめとけ
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臨床検査技師をこのまま続けていたら間違いなく後悔します。

なぜならこの先、臨床検査技師を待ち受ける闇が深すぎるから。

残酷な3つの真実

人の命を預かり知識も技術も経験も必要な仕事なのに、診療報酬の元で働く限り給料は上がらないのが臨床検査技師の未来です。

この記事では、この先に臨床検査技師を待ち受ける残酷な3つの真実をどこよりも詳しく解説します。

今から臨床検査技師を目指そうとしている方も、既に臨床検査技師として働いている方も、『本当にこのまま臨床検査技師を続けて大丈夫か?』をよく考えてみてください。

この記事を書いた人

Sドラゴン

■転職経験を5回もつ臨床検査技師。新卒で臨床検査業務に従事した後、胚培養士、CRC、アプリケーションスペシャリスト、研究開発、検査サービス市場投入、衛生検査所管理者を経験。
■臨床検査技師が直面する転職の課題に対して、豊富な転職経験と現場で培った専門知識を活かし、実績と経験に基づいた実行可能なキャリアアドバイスを提供します。

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Sドラゴン
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上がらない給料・増え続ける業務量と責任

臨床検査技師の給料・年収は、国家資格の医療職とは思えないほど相当に低いです。

現状、既に残酷ですが、この先更にキツくなります。

臨床検査技師は年収が上がりにくい

下表は医療機関勤務のコ・メディカルの20代の平均年収をまとめたものです。

臨床検査技師と他職種の平均年収(20代)
職種 男性 女性
20〜24歳 25〜29歳 20〜24歳 25〜29歳
臨床検査技師 310万円 358万円 306万円 366万円
看護師 349万円 418万円 352万円 372万円
放射線技師 346万円 397万円 322万円 384万円
理学・作業療法士 328万円 374万円 318万円 364万円
薬剤師 331万円 456万円 355万円 419万円

出典:賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(厚生労働省)

入職時(20代前半)は職種間で年収差は認めませんが、20代後半ごろから徐々に金額の差が広がります。

続いて医療機関勤務のコ・メディカルの30代の平均年収を見てみます。

臨床検査技師と他職種の平均年収(30代)
職種 男性 女性
30〜34歳 35〜39歳 30〜34歳 35〜39歳
臨床検査技師 442万円 455万円 393万円 444万円
看護師 451万円 466万円 421万円 442万円
放射線技師 427万円 525万円 413万円 460万円
理学・作業療法士 417万円 466万円 375万円 415万円
薬剤師 515万円 611万円 475万円 508万円

出典:賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(厚生労働省)

では、20代前半から30代後半にかけての年収の伸び率はどうでしょうか。

20代前半-30代後半の年収増加金額・率
職種 男性 女性
増加金額 増加率 増加金額 増加率
臨床検査技師 145万円 147% 138万円 145%
看護師 117万円 134% 90万円 126%
放射線技師 179万円 152% 138万円 143%
理学・作業療法士 138万円 142% 97万円 131%
薬剤師 280万円 185% 153万円 143%

出典:賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(厚生労働省)

基本給は低いものの、年次昇給の金額・増加率は他職種と大きな差は認めませんでした。

『意外と悪くない』と思った方は要注意。比較対象を医療機関以外も加えてみましょう。

アプリケーションスペシャリストの年収

上記は医療機器メーカー勤務時代の私の実際の年収の推移です。

入社時(28歳)は550万円だった年収が4年で700万円に増加しました。

Sドラゴン
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臨床検査技師だと10年かかる年収の増加率を企業ならわずか4年で達成できてしまいます。

ちなみに臨床検査技師の年収は最大でも650万円程度。この金額は医療機器メーカーなら30代前半で到達することも注目すべきポイントです。

ご自身の年収を同業者(医療従事者)と比較するだけでは井の中の蛙になってしまいます。

病院外で働く医療業界の会社員は臨床検査技師より圧倒的に稼いでいることは紛れもない事実です。

右肩上がりの医療費・保険料と診療報酬のマイナス改定

下図にお示しした通り、1995年以降、主要な先進国の中で唯一日本だけが平均賃金が横ばいやや低下傾向です。

この理由は下記ツイートに。

Sドラゴン
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これが日本人・日系企業の給料が上がらない理由の1つです。

日本人の給料が上がらない一方で、ひたすら右肩上がりなのが国民医療費

出典:GemMed

医療技術の高度化や高齢者の増加が国民医療費が上がり続ける主な要因と言われています、医療にかかる財源は有限。

誰かが何かしらの形で負担することになりますが、その1つがあなたの給料から毎月天引きされている健康保険料

日本の国民医療費の48.8%は被保険者の保険料から捻出されていますが、医療費が増加すると必然的にあなたの給料から天引きされる健康保険料の金額も増加します。

下図の緑の棒グラフは1人あたりの年間保険料負担額を示していますが、年々右肩上がりで増加していることが分ります。

ここまでをまとめると

日本人の給料は上がらない

 

給料から天引きされる健康保険料は毎年増える

これだけなら国内の内資系企業でも同じことが言えますが、問題はここから。

健康保険料増大に伴う国民の負担を軽減するために、政府は診療報酬のマイナス改定を検討しています。

診療報酬のマイナス改定の恩恵

給料から天引きされる健康保険料の金額を抑えられる

 

医療機関受診時の患者負担が減少する

診療報酬のマイナス改定により給料から天引きされる健康保険料の金額が安く抑えられるため、多くの国民の手取りが増える一方で、心中穏やかではないのが医療関係者。

診療報酬がマイナス改定されれば医療報酬単価が下がるため、医療機関の収入に影響が出るのは言うまでもありません。

もちろん、高齢者増加に伴い患者数も増えるため、下がった単価は患者数の増加でカバーできる部分もありますが、それは今と同じ給料で今より忙しくなることを意味しています。

その他にも、タスクシフトで医師の業務をコメディカルが受け継ぐ施策が進んでいますが、これは医師の業務量を減らして病院の支出を抑えることが最大の目的。

超高齢化社会に突入中の日本では、今後も患者数が増大することは明らかです。

臨床検査技師を続けるということは、今と同じ給料のまま今より業務量と責任が増えるリスクを背負うということなんです。

実は年収が上がらない最大の理由は『医療機関で勤務しているから』に他なりません。

医療従事者はリストラの心配がなく”安定”していますが、文字通り安く定まることになります。お金を稼ぐことが目的なら医療機関で働くことはオススメしません。

検体検査室はコスト削減の『切り札』

n151120b2b2.jpg出典:日医on-line

上図は医療機関の総支出の内訳を示したデータです。

実は、医療機関の支出で最も多くの割合を占めるのは人件費

Sドラゴン
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病院経営を安定して黒字化させるには人件費の最適化は欠かせない課題です。

臨床検査技師は『その他医療関係職』に含まれますが、6.5%の内訳は下図の通り。

平成30年に公表された厚生労働省のデータによると、現在国内では64,080人が臨床検査技師として登録されており、看護師・薬剤師を除くコ・メディカルの中では理学療法士(PT)に次いで2番目に人口が多い職種です。

Sドラゴン
Sドラゴン
機械化が進んだ臨床検査業界でこれだけの人手が必要かは疑問です。

厄介なことに臨床検査技師には独占業務がありませんし、看護師のように人数に応じて診療報酬がアップする仕組みもありません。

病院の最大の支出は人件費であること、臨床検査技師は収益に対して人件費がかかりすぎていること、これらの問題を検査の自動化で解消できることを医療機器メーカーは病院経営層に訴求しています。

さらに、忘れてはならないのが検体検査室は他職種と異なり『検査試薬代』がランニングコストとして発生すること。

Sドラゴン
Sドラゴン
人件費+検査試薬代が相まって他部署よりも支出が目立つため、臨床検査技師は経費削減の標的にされやすいんです。

検体検査室の経費を手っ取り早く削減できる方法が検査室のブランチ化です。

ブランチラボとは、医療機関内に設置した大手検査センターが運営する検査室のことで、検査に関わる機器・試薬・人材は全て検査センターの所有物となります。

検査室をブランチ化することで、徹底した機器の購入価格の低減、ランニングコストの削減、人件費も最小限にとどめるなど、企業ならではの経営方針の恩恵を受けられるため、検査に関わる病院経費を大幅に削減できます。

法的な業務規制により患者に直接接触する業務、すなわち採血業務および生理機能検査業務を企業職員は行うことができないという特性があります。

Sドラゴン
Sドラゴン
検体検査室は病院内でブランチ化できる数少ない部署です。

検査機器・試薬メーカー勤務の経験から断言できますが、消耗品や試薬の大手検査センター価格は病院価格とは比べ物にならない程安いんです。

消耗品や試薬代が安くなる最大の理由は、大手検査センターは消耗品や試薬を大量に購入するから。

検査試薬メーカーにとって、検査センターは超大口の取引先。1試薬ごとの単価が下がってもトータルの売りを見れば価格交渉に応じざるを得ません。

Sドラゴン
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検査センターに比べると独法医療機関は年間の試薬消費量はたかが知れてるため、なかなか価格交渉には応じてもらえないワケです。

さらに、ブランチ化することでメーカーが検査実績課金方式を受け入れてくれる可能性もあります。

  • 検査実績課金方式とは、各検査測定項目につき1テスト当たりの価格(単価)を試薬メーカーと契約し、毎月の検査報告実績数に対してのみ費用を支払う完全後払い方式の制度
  • 例えば、再々検まで測定したとしても請求される試薬コストは1テスト分のみであり、試薬代・消耗品代を大幅に削減できます。

その他にも、メーカーとの交渉次第では定額で試薬使い放題プラン(例:月間1,000万円の固定費で試薬・消耗品使い放題)を契約できることもあります。

いずれにせよ、試薬代を安くしてもメーカー側にメリット(月間の売り上げが100万円以上)がある施設でなければ検査実績課金方式や定額プランの契約は絶対にできません。

これからはシンプルに働く場所が減る

「病院に勤めれば将来安泰」

Sドラゴン
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実は最近はそういうわけでもなくなっています。

上図は平成2年以降の国内の病院数の推移を示しています。

開設者に関わらず病院数は年々減少していることがデータから読み取れます。

病院数が減少する理由は主に下記の3つ。

支出増大

 

収益の減少

 

医師・看護師の不足

Sドラゴン
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要するに赤字を垂れ流して経営が困難になる病院が年々増加しているということです。

支出の増大

検査機器・検査試薬は価格が安い汎用機汎用試薬から専用機専用試薬の時代に突入しています。

専用機専用試薬は下記の理由から検査の標準化には最適な選択肢です。

  • 検査過誤の発生率を大幅に削減できる
  • 誰が作業しても一律同じ結果が得られる
  • トラブル発生時の原因特定が迅速にできる

ただし、価格が汎用機汎用試薬より高いというデメリットがあるため、病院の支出は増加します。

検査関連機器・試薬以外にも多くの医療機器・医薬品が高性能化している分価格も高騰しており、医薬品や医療材料の経費が増大します。

収益の減少

病院の収入源の1つに『入院基本料』というものがあります。

1日あたりの宿泊料金と考えてください。この料金は、医師の診察料や看護師の看護料を含めたサービス全体に対する料金です。

出典:よくわかる診療報酬2022-入院の料金

急性期一般入院基本料1 1650点
2 1619点
3 1545点
4 1440点
5 1429点
6 1382点
地域一般入院基本料1 1159点
2 1153点
3 988点

上記点数のどれに該当するかは看護師の人数や平均在院日数で変わりますが、在院日数は短いほど点数が高くなるため、急性疾患患者をたくさん受け入れるほど病院の収益は高くなります。

医療機関としては急性疾患患者をできるだけ多く受け入れたいところですが、これからの日本は高齢患者が爆発的に増加していきます。

高齢患者が増加すると認知症や脳血管疾患など、入院日数が長くなる症例が増加するため、入院基本料が減少し病院の収益にも影響が出ることが予想されます。

これに加えて、国民の医療費負担を軽減するため、国は今後も診療報酬を低下させていくでしょう。

医師・看護師の不足

支出が増大し収益が減少すると、医療機関はもはや薄利多売の道を歩むことになります。

要するに、今より患者数が増えて業務量は増加するけど給料は横ばいという最悪の事態。

その結果

  • 医師や看護師は労働に見合う対価が得られる場所に転職していきスタッフが減少。
  • 経営を立て直すにも自院単独でのスタッフ増員は容易ではなく、結果としてダウンサイジングを余儀なくされる。
  • 実質的な経営破綻に追い込まれ経営統合に踏み切る場合も珍しくありません。

ここで問題なのは、労働環境が劣悪化して人員が不足するのは医師や看護師など直接患者と対峙する職種であり臨床検査技師ではないという点です。

医師・看護師不足で医療機関が減少しても臨床検査技師の絶対数は変わらない(辞めない)ため、残ったポストの取り合いになることが予想されます。

Sドラゴン
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ポストが少ないということは、どんなに劣悪な条件でも人材が辞めません。辞めたとしても、更に劣悪な条件で募集して人材を補充します。

臨床検査技師の求人は休みが異常に少なく年収が異常に低いものが多いワケです。

臨床検査技師になるメリット

将来が不安な臨床検査技師ですが、下記のようなメリットもあります。

  • 検査データが読めるようになる
  • 検査機器メーカーへの転職で優遇される
  • 学会発表が活発な医療機関は研究ができる

検査データが読めるようになる

社会人になると健康診断や身内の病気など、検査データを見る機会が増えます。検査の知識がなけれな検査データはただの数字の羅列ですが、知識があると

  • 今の健康状態
  • 注意すべき生活習慣
  • 各種疾病の重症度評価など

検査データからあらゆる情報を読み取れるようになります。

検査機器メーカーへの転職で優遇される

検査機器メーカーに新卒で入社することはほぼ不可能です。なぜなら、人気メーカーの倍率は300倍(3000人応募者がいて10人が採用)にも及ぶためです。この倍率の中で生き残るには他者にはない特別な能力(例えば超高学歴や帰国子女で語学堪能など)が必要です。無論、専門学校卒や学位取得程度では到底採用されません。

一方、検査の実務経験を有していると学歴ではなく実力で評価してもらえるため専門学校卒でも入社(転職)できるチャンスがあります。

将来的に検査機器メーカーで働きたいなら、下積みとして3年〜5年間ほど臨床検査技師として勤務することはおすすめできます。

臨床検査技師からメーカーに転職する際は、医療・ライフサイエンス・ヘルスケア業界に特化した転職エージェントを利用してください。詳細は下記記事で解説しています。

【臨床検査技師向け転職サイト14選】キャリア戦略別のおすすめNo1を発表!臨床検査技師のための転職サイト14選を紹介し、キャリア戦略に基づくおすすめのNo1サイトを発表します。専門性を活かして転職を成功させたい臨床検査技師にとって最適な選択肢を提供し、キャリアアップや職場環境の改善を目指す方に役立つ情報をまとめています。...

軸ずらし転職でキャリアの幅が広がる

軸ずらし転職とは下図のように、業界または職種だけを転職で変える手法です。

*横軸:年齢、縦軸:年収

軸ずらし転職は、あなたの「強みや経験」を職種・業界のどちらかに残しながら活躍の場をズラしていくため、未経験者扱いされることが無くキャリアダウンの転職にはなりません。

臨床検査技師の国家資格と実務経験を有していると業界を医療に固定して職種だけ変えていく軸ずらし転職」の変法(下図)により、年収アップ・目的職種への転職を実現できます。

Sドラゴンの軸ずらし転職

Sドラゴン
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臨床検査技師からキャリアチェンジできる職種は下記の記事でランキング形式で発表しているのでキャリアプラン作成にお役立てください。

【臨床検査技師のキャリアチェンジガイド】14の他職種と企業転職の利点・欠点臨床検査技師の資格を活かせる企業の他職種を14職種ご紹介。経験を活かしてキャリアアップを目指す方への参考情報満載。今後のキャリア選択に役立ててください。...

まとめ:生涯臨床検査技師として働くのはリスクが大きいです

私は臨床検査技師を否定するつもりで本記事を執筆したワケではありません。検査業務に誇りを持たれているならこの先どれだけ労働条件が悪化しても耐えられると思います。

とはいえ、特に目的もなく何となく臨床検査技師になった方は、このまま臨床検査技師を続けても環境が好転することはありません。

上記ツイートの通り、国が主体となって医療の仕組みを大きく変えない限り、臨床検査技師をはじめ、医療従事者たちの未来は相当暗いです。

Sドラゴン
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最近では「異次元の少子化対策」の財源として健康保険料の値上げが囁かれており、医療従事者の手取りは下がっていく一方です。

臨床検査技師として一生涯働くことは避け、「通過点」として臨床検査技師のキャリアを利用してください。

ABOUT ME
Sドラゴン
経歴:臨床検査技師(天理よろづ相談所病院)→胚培養士(不妊クリニック)→CRC(EP総合)→ASP(ロシュ)→研究開発・細胞培養(バイオベンチャー) 保有資格:臨床検査技師免許 、緊急臨床検査士 、二級臨床検査士(臨床化学/免疫血清学)