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臨床検査技師の将来の需要は医療ニーズ(臨床検査件数)である程度は予測ができます。
ただし、医療ニーズは年齢によって大きく異なることに注意が必要です。
直近2020年の調査では、医療機関を受診した65歳以上の割合は15〜64歳の3倍で、高齢者が医療機関をより多く利用している結果でした。
要するに、医療ニーズは地域の人口構成によって大きく変わるため、全国規模で見るだけでは見誤ります。加えて、病院マネジメントや部門マネジメントの視点で見ると地域の入院・外来・在宅という切り口だけでなく、診療行為別や疾患別の視点も必要で、臨床検査技師の将来の重要を予測するなら生理検査や検体検査など検査項目別の地域毎のニーズ予測が重要です。
この記事では、下記の3地域について、年齢別将来推計人口と厚生労働省が持つレセプトデータを掛け合わせて2025年をベースに20年後の2045年の医療ニーズの変化を%でご紹介します。
- 東京都文京区
- 鳥取県米子市
- 青森県弘前市
この記事を読めば、臨床検査技師の将来の需要は地域ごとの異なることが分かります。今後の身の振り方を検討する材料としてご活用ください。
診療行為別に見た医療ニーズ(全体)の変化率
東京都 文京区 | 鳥取県 米子市 | 青森県 弘前市 | |
臨床検査 | 116.6 | 94.0 | 81.0 |
在宅医療 | 121.2 | 106.3 | 95.7 |
画像診断 | 119.5 | 94.5 | 82.1 |
投薬 | 120.0 | 95.6 | 83.3 |
リハビリ | 118.1 | 92.3 | 79.8 |
手術 | 122.7 | 94.9 | 82.4 |
麻酔 | 120.2 | 95.3 | 83.8 |
放射線治療 | 126.0 | 94.4 | 81.3 |
病理診断 | 113.5 | 90.9 | 76.9 |
疾患部類別に見た臨床検査ニーズの変化率
東京都 文京区 | 鳥取県 米子市 | 青森県 弘前市 | |
総数 | 116.6 | 94.0 | 81.0 |
癌(腫瘍) | 117.9 | 94.1 | 81.4 |
神経系疾患 | 115.2 | 93.6 | 80.3 |
循環器系疾患 | 111.5 | 91.6 | 77.6 |
呼吸器系疾患 | 115.6 | 93.8 | 81.1 |
消化器系疾患 | 115.8 | 92.8 | 79.4 |
筋骨格系疾患 | 114.2 | 94.9 | 81.3 |
感染症及び寄生虫 | 117.3 | 94.1 | 81.3 |
内分泌・栄養及び代謝疾患 | 113.1 | 92.2 | 78.6 |
腎尿路生殖器系疾患 | 113.0 | 93.1 | 80.0 |
精神及び行動の障害 | 119.0 | 96.4 | 85.6 |
眼及び付属器の疾患 | 119.6 | 95.2 | 82.8 |
皮膚及び皮下組織の疾患 | 120.5 | 96.1 | 84.2 |
検査項目類に見た臨床検査ニーズの変化率
東京都 文京区 | 鳥取県 米子市 | 青森県 弘前市 | |
総数 | 116.6 | 94.0 | 81.0 |
尿・糞便等検査 小計 | 121.3 | 95.5 | 82.7 |
血液学的検査 小計 | 120.9 | 95.7 | 82.9 |
生化学的検査(I)小計 | 121.5 | 96.6 | 84.4 |
生化学的検査(II)小計 | 117.5 | 95.7 | 83.6 |
免疫学的検査 小計 | 110.2 | 90.6 | 76.0 |
微生物学的検査 小計 | 107.1 | 89.6 | 74.5 |
検体検査判断料 小計 | 119.6 | 95.9 | 83.4 |
呼吸循環機能検査等 小計 | 121.5 | 95.6 | 83.5 |
スパイログラフィー等検査 肺気量分画測定 | 118.4 | 92.5 | 79.1 |
呼吸機能検査等判断料 | 114.6 | 91.1 | 77.1 |
心電図検査四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導 | 124.1 | 98.5 | 87.5 |
ホルター型心電図検査8時間超 | 120.4 | 93.9 | 81.5 |
脈波図、心機図、ポリグラフ検査、血管伸展性検査 | 127.1 | 96.8 | 85.1 |
断層撮影法(心臓超音波検査を除く) その他の場合:胸腹部 | 108.3 | 90.3 | 75.8 |
断層撮影法(心臓超音波検査を除く) その他の場合:下肢血管 | 125.0 | 97.2 | 86.0 |
断層撮影法(心臓超音波検査を除く) その他の場合:その他(頭頸部、四肢、体表、末梢血管等) | 112.8 | 90.3 | 76.2 |
心臓超音波検査 経胸壁心エコー法 | 122.9 | 97.2 | 85.8 |
脳波検査等 小計 | 106.4 | 87.0 | 71.5 |
神経・筋検査 小計 | 117.2 | 92.8 | 80.1 |
耳鼻咽喉科学的検査 小計 | 111.1 | 90.3 | 76.3 |
眼科学的検査 小計 | 119.6 | 93.7 | 81.3 |
皮膚科学的検査 小計 | 107.4 | 88.3 | 73.0 |
負荷試験等 小計 | 104.5 | 89.3 | 71.4 |
内視鏡検査 小計 | 116.8 | 92.4 | 78.8 |
臨床検査技師の20年後の働き方を予測
属性別・地域に応じたデータを見ると20年後の需要に応じた臨床検査技師の必要性が見えてきます。
大都市における臨床検査技師の需要
例えば、大都市では高齢者は増え続け、医療ニーズが高まり、外来診療・臨床検査数も増加していきます。疾患別や検査項目別に増減の度合いに違いはありますが、総じて増加することに変わりなく、検査部門として引き続き人材確保が必須業務となります。
地方における臨床検査技師の需要
地方では中核都市かそうではないかにも大きく左右されます。
中核都市では入院ニーズはほぼ変わりませんが外来ニーズは減少します。その他の都市では入院ニーズも外来ニーズも減少するという大枠の整理ができます。
総じて、地方では外来人口が減少し、疾患別や検査項目別に見てもニーズが大きく変化することが予想されます。地方の検査部門では検査件数・総保険点数を維持することができるのか、維持できない場合は検査件数・総保険点数/検査技師の職員数の割合を一定にする方向に調整が入ると思われます。すなわち、検査人材がよりフレキシブルな形で働ける仕組み、複数の検査領域を掛け持ちして横断的に臨床検査業務を行うことになりそうです。
まとめ
20年後の臨床検査技師について、年齢別将来推計人口とレセプトデータから算出した予測に基づいて考察しました。
地域によって医療需要は大きく変化し、それに伴い臨床検査技師の働き方も地域によって異なることが予想されます。
大都市では外来数・検査数の増加に伴い希少疾患にも対応できる各検査部門のスペシャリストが、地方では複数の検査業務を掛け持ちして検査数・検査点数/技師人数の割合を維持できる人材が歓迎されるようになります。
今の職場であなたの望むキャリアが構築できるのかどうか、20年後のデータを見て今一度考え直してみてはいかがでしょうか。
自分で判断できないならメディカル技師ワーカーのような臨床検査技師のキャリアに特化したキャリアアドバイザーから意見をもらうこともおすすめです。最後まで完全無料ですし、相談だけでも利用できるため、周囲でキャリア相談ができない方は相談役として活用してみてください。
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