サービスエンジニアはフィールドの顔として、営業・アプリケーションスペシャリストと連携し、既存顧客への直接的なサポートを提供します。機器の修理・調整・点検からソフトウェアのアップデート、在庫管理まで、彼らの業務は医療機器の安定稼働に不可欠です。
この記事は、医療機器サービスエンジニアの実態について平均的な内容をお伝えするものです。詳細は個々の企業により異なるため、より詳しい内容を求める方は転職エージェントから紹介される求人票の内容をご確認ください。
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【職種概要】医療機器サービスエンジニアとは?
医療機器のメカニックな部分を担当するメディカル業界に所属する職種です。医療機関で医療機器の設置、メンテナンス、修理を行い顧客満足度を獲得することが本職種のミッションであり、週の半分は客先での業務になります。
相手にする医療機器は企業により様々ですが、人工呼吸器・麻酔器などの中型機器からX線CTやMRIなどの大型検査機器があります。
基本的には手順書・仕様書に沿って業務を遂行することになるため、医療に対する専門的な知識はそれほど要求されません。ただし、企業によってはエンジニア業務とアプリケーション関連業務を兼務するケースがあるため、この場合はある程度の医療の知識が要求されます。
サービスエンジニアとフィールドエンジニアの違い
名称は異なりますが、業務内容は同じです。企業によってポジション名に違いがあるだけです。
本職種はセールス(営業)とは切り離された部隊であるため、差別化の意味でサービスと命名された経緯があります。
また、フィールドとは実際に現場に出てエンジニア業務を遂行することから名付けられています。エンジニアには本社で情報を管理・現場を後方から支援するテクニカルサポート部隊が存在するため、そちらとの差別化のためあえてフィールドと付けることがあります。
医療機器サービスエンジニアの仕事内容
サービスエンジニアの主な業務は医療機器の設置・調整、定期メンテナンス、修理です。
医療機器の設置・調整
医療機関が新たに医療機器を導入する際、正確な動作をするように各パーツの位置調整を行います。また、大型機器の場合、ユニットが複数に分かれて納品されるため、本設置場所への据付作業が発生します。これらの作業を医療機器に出向いて対応します。
定期メンテナンス
医療機器は時に患者の命に直結する役割を果たすため、常に正確な動作が要求されます。また、故障は医療機関の診療停止を意味するため、常に万全な状態でなければなりません。そのため、壊れる前に定期的に状態を確認し、摩耗が激しいパーツが見つかれば予め交換して故障を未然に防ぐ必要があります。点検時期が来たら施設に出向いて決められた点検スケジュールを遂行し、各部の動きが仕様を満たすことを定期メンテナンスにより確認します。
修理
医療機器は故障しないように定期的にメンテナンスを行いますが、どれだけ万全を期していても機関に故障は付き物です。必ず壊れます。壊れた装置を直すのもエンジニアの重要なミッションです。壊れたパーツを現場まで運んで交換し、正常に動くことを確認します。
なお、サービスエンジニアがキツイと言われる理由の99%はこの修理が絡んでいます。キツイ理由については後述のサービスエンジニアがキツイ理由を参照してください。
サービスエンジニアの給料・年収
医療機器サービスエンジニアの給料と年収は企業の年収テーブルのより決められますが、平均すると600万円〜800万円程度です。毎月の給料に換算すると35万〜50万円程度。
医療機器メーカーは人事評価制度を設けており、勤務年数ではなく実績に応じて年収が変動する仕組みです。そのため、毎年設定する目標を大幅に上回る成績を収め続ければ短期間で100万円以上の年収アップも期待できます。
また、賞与については営業職とは異なり成果に応じたインセンティブは発生しませんが、毎年安定した金額が支払われます。
管理職に就けば年収は1000万円を超えてくるため、高年収を得たい方にはおすすめの職種といえます。
サービスエンジニアの働き方とワークライフバランス
医療機器メーカーで働くサービスエンジニアの職場は、柔軟な働き方を支援することで知られています。以下の特典により、働きやすさとワークライフバランスの維持が可能です。
- フレックスタイム制度: サービスエンジニアは始業時間と就業時間を自由にコントロールできます。これにより、個人のライフスタイルや仕事の流れに合わせて労働時間を調整することができます。
- 直行直帰: 出勤と退勤時に自宅から直接顧客施設に向かったり、そこから直接帰宅したりすることが認められています。これにより、無駄な通勤時間が省かれ、効率的な仕事が可能になります。
- テレワーク: 必要なIT機器が会社から貸与されるため、自宅や任意の場所で仕事をすることができます。これにより、柔軟に働くことが可能になり、プライベートと仕事のバランスを取りやすくなります。
- 社用車の利用: 移動は会社から貸与される社用車で行い、高速道路料金も会社が負担することがあります。これにより、移動に伴うストレスが軽減され、業務に必要な機材の運搬も容易になります。
これらの制度は、サービスエンジニアが効率的かつストレスフリーで働けるように設計されており、職場の自由度を高め、個々のニーズに応じた働き方を可能にしています。ただし、緊急修理の場合などは迅速に対応する必要があるため、柔軟性と即応性が求められます。
サービスエンジニアの転勤の有無とタイミング
転勤の有無とタイミングは、医療機器メーカーの規模やポリシーによって異なります。大企業では全国に支店が点在するため転勤の可能性が高く、通常は3〜5年ごとの周期で転勤の辞令が出されます。転勤は、地域の市場規模や業務量に応じて、業績の優れた社員に対する栄転や、業績不振や問題行動が原因で異動となるケースがあります。
転勤を断ることは通常難しく、会社の方針に従う必要があります。しかし、一部の企業では「地域限定制度」を設けており、特定の地域に留まることを選択できますが、これは通常、年収の減少を伴います。
サービスエンジニアは、その性質上移動が多いため、交通ルールの遵守が特に重要です。交通違反が多い場合、企業によってはペナルティとして交通量の少ない地方への転勤が命じられることがあります。
企業による転勤の方針と個人のキャリアプランのバランスを取ることは重要であり、転勤が予想される場合は、事前にキャリアの選択肢や条件を検討しておくことが推奨されます。
サービスエンジニアのキャリアプラン
サービスエンジニアのキャリアプランには、以下の主要な選択肢があります:
- フィールドプレーヤーとしてキャリアを続ける: 体力と熱意が続く限り、技術面でのスキルを維持し続けることができます。多くの経験豊富なサービスエンジニアが活躍しており、実務経験を活かして専門性を高めることができます。
- マネージャーに昇進する: 技術的役割から管理職への移行は、チームをリードし、プロジェクト管理や戦略計画の立案を担当することを意味します。管理職は、チームのパフォーマンスを向上させ、組織の目標達成に貢献する責任を負います。
- 職種変更を行う: 同じ企業内で異なる職種への変更も可能です。これにより、新たなスキルを習得し、業務の多様性を増すことができます。社内公募制度を利用して、別の部署や職種に挑戦することが一般的です。
- 他企業への転職を検討する: 別の医療機器メーカーやベンチャー企業に転職することで、新しい環境でキャリアをリフレッシュし、異なる業務内容や企業文化を経験することができます。特に、外資系のベンチャー企業は新たなチャレンジと機会を提供する可能性があります。
サービスエンジニアのキャリアパスは多岐に渡り、個人の興味、スキル、キャリアの目標に応じて柔軟に選択することが可能です。これにより、長期的なキャリア展望を持ちながら、専門性と職務の満足度を高めることができます。
サービスエンジニアの将来性
所属はメディカル業界の企業ですから、今後ますます需要が伸びることが予想されます。
また、AIの登場により将来仕事を奪われる職種が存在する中で、サービスエンジニアの業務は実機を相手にするため、AIに奪われる心配がありません。
医療機器サービスエンジニアは他の職種に比べると将来的にも安心できる職種といえます。
求められる人材・向いてる人
医療機器メーカーのサービスエンジニアに適している人材は、主に以下の特徴を持つ人です。
- 機械を触る作業が好き・得意な人: サービスエンジニアの主な仕事は機械のメンテナンスや修理であるため、機械に対する興味と理解が重要です。機械や技術に対する知識とスキルが求められます。
- 人と接することが好きな人(苦手ではない人): 顧客とのコミュニケーションが頻繁に発生するため、コミュニケーションスキルが必要です。顧客からの問い合わせに対応したり、作業の説明やトレーニングを行う場面が多くあります。
- 報告・連絡・相談が徹底できる人: 作業の進捗や状況を適切に報告し、必要な情報を効果的に共有する能力が必要です。特に緊急のトラブルや修理時には、迅速かつ正確な報告と連絡が求められます。
サービスエンジニアは技術的なスキルだけでなく、顧客サービスやコミュニケーション能力も同等に重要な役割を果たします。この職には、技術的な知識と対人スキルのバランスが取れた人が適しています。また、問題解決能力や冷静な判断力を持ち合わせていることも、この仕事には不可欠です。
未経験でもなれる?サービスエンジニアに必要な資格・スキル
サービスエンジニアは特別な資格が必須ではない場合が多いですが、理系のバックグランドとしてネットワーク、電気、機械の知識が求められることが一般的です。特に技術的な理解が必要な業務が多いため、これらの分野に関する知識は、効率的に作業を進める上で大きな助けになります。
未経験者でもサービスエンジニアとしての職に就くチャンスはあります。特に、顧客サポートの経験があると有利ですが、業界内での人手不足が背景にあるため、未経験者でも十分に検討されることがあります。実際、未経験から入社し、研修を通じて必要なスキルや知識を身につけることで、成功するケースは少なくありません。
サービスエンジニアは大変?現役がキツいと感じること
サービスエンジニアはきつい・大変と言われることがありますが、その理由は緊急修理が原因です。
医療機器が壊れて診療がストップしている。すぐに直してくれないと多くの患者に影響が出る。早く何とかしてくれ。
こんな状況下で施設に乗り込むわけですから、ストレスがかからないわけがありません。現場では医療従事者達がピリピリしており、まだですか?いつ直りますか?と再三の質問責めに合います。もしミスをしようものなら袋叩きにあい、後日院長から会社に直接クレームが入ることもあります。
そしてこれが夜間だったら。例えば、18時に緊急出動を要請され、そこから6時間に及ぶ作業を遂行する。しかもミスは許されない。どんなに難しい修理でも翌朝までには必ず正常に動くようにしてほしい。
こんな理由で、年に1~2回は徹夜作業が発生することもあります。
肉体的にも精神的にも追い込まれることがあるため、サービスエンジニアはキツイと言われることがあります。
サービスエンジニアのやりがい
医療機器メーカーでのアプリケーションスペシャリストやサービスエンジニアとしての業務は、自分の頑張りが直接収入に反映される成果主義が基盤にあり、年功序列の制度とは異なります。これにより、自身の実力と成果が年収の昇降に直結し、自らの努力次第で大幅な年収アップが目指せることが大きな魅力です。
加えて、スケジュール管理が自由なため、ライフワークバランスを自分で調整しやすく、働き方にメリハリをつけることが可能です。休みたい日は休む、働く日はしっかり働くことで、プライベートと仕事の両立がしやすくなります。
仕事の内容も、主観ではなく客観的なデータを基に論理的に原因を究明し、問題を解決していくプロセスが要求されます。これにより、データ収集から仮説立て、作業実施、結果確認に至る一連の流れを通じて、ロジカルシンキングや思考力が自然と鍛えられます。
このように、医療機器メーカーでの職務は自己成長につながるだけでなく、自分の努力が明確に評価され、それが報酬に反映されるやりがいのある仕事です。
サービスエンジニアの求人は?転職する方法
サービスエンジニアに転職する際には、次の方法が効果的です。
医療機器メーカーの求人ページから応募する
直接企業の公式求人情報を確認し、企業の文化や求める人材像を把握してから応募することができます。
求人サイト・転職エージェントに紹介してもらう
一般的な求人サイトには多数の職種が掲載されており、様々な医療機器メーカーのサービスエンジニアのポジションを見つけることが可能です。転職エージェントは、応募者の経歴や適性を踏まえて最適な求人を紹介してくれます。ヘルスケア業界や医療業界に特化した転職エージェントを利用することで、業界の深い知識を持ったコンサルタントからアドバイスを受けることができます。
転職エージェントを利用する際には、リクルートダイレクトスカウト、ビズリーチ、ランスタッド、JACリクルートメントなどの医療機器やヘルスケア業界に強いエージェントを選ぶとより効果的です。
医療機器メーカーの社員に紹介してもらう
既に業界で働いている知人からの紹介は、信頼性が高く、企業にとっても推薦の根拠となるため、採用の確率が上がる可能性があります。
特に転職エージェントを通じた応募は、個々の経歴やスキルに合った求人を紹介してもらえる上に、面接対策や条件交渉などのサポートも受けられるため、サービスエンジニアとしてのキャリアをスタートさせるには最適な方法と言えます。
まとめ
この記事では、サービスエンジニアの具体的な業務内容、仕事のやりがい、そしてキャリアパスについて詳しく説明し、どのようにしてこの分野で成功し、キャリアを築いていくかについて解説しました。
未経験者でも機械や技術への理解があれば、サービスエンジニアとしての道は開けます。
ぜひ、興味がある職種への転職にチャレンジしてみてください。