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胚培養士は不妊クリニックの培養室で受精卵を培養し、ある程度育った状態の受精卵を患者さんの子宮へ戻す業務の補助を行います。
クリニックによって培養士業務のみを行うこともあれば、採血・血液検査等の培養業務以外の業務を兼任する場合もあります。
実際私は24歳の時に臨床検査技師から胚培養士に転職しました。
この記事では実際に胚培養士として働いて知り得た情報を体験談ベースでご紹介しています。
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胚培養士の業務内容
胚培養士の業務は不妊クリニックならではの胚培養業務、採血や血液検査などの血液業務、診察内容を医師の指示で診療記録に入力する診療補助業務の3つに大別されます。
クリニックの規模によって3つの業務を胚培養士が全て担当するケースもあれば、各業務の専属の人員をs採用しているケースもあります。
胚培養業務
- 精液検査
- 受精卵の培養業務
- 体外受精の補助
- 採卵業務の補助
- インフォームド・コンセント
検査業務
- 血液検査
- 採血
診察補助業務
- 診療記録(カルテ)への記録補助
胚培養士の想定年収レンジ
胚培養士JOBの調査によると未経験から胚培養士に転職した場合の平均年収は280万円〜350万円程度と臨床検査技師とほぼ同水準の年収です。
休日出勤や夜間勤務が多くなるとその分手当も増えるため400〜450万円程度なら十分見込めます。
胚培養士へ転職するメリット
- 不妊領域の知識に詳しくなる
- 臨床(患者さん)との距離が近くなる
- 手に職がつく
①不妊領域の知識に詳しくなる
厚生労働省の公表データによると2017年現在の不妊治療による出生児の比率は6.0%であり、これは16人に1人が不妊治療により出生した児であることになります。
胚培養士として不妊クリニックで勤務すれば自分を含め、身近な人が不妊で悩んでいる時に正確な知識で的確なアドバイスができるようになります。
②臨床(患者さん)との距離が近くなる
検体系の臨床検査技師は臨床との距離が遠く、患者さんと関わるのは採血時ぐらいです。
せっかく医療機関で働いているのに患者さんと関われないことに対して憤りを感じることもあるでしょう。
胚培養士に転職すれば治療方針の説明(インフォームド・コンセント)や受精卵の発育状況の説明など患者さんと接する機会が臨床検査技師時代と比べて多くなります。
③手に職がつく
検体系の臨床検査技師技師、特に生化学・免疫検査担当者は検査機器の管理が主な業務になるため手に職がつきません。加えて昨今の検査業務AI化に伴い検体系検査技師の行き場所がなくなる時代がまもなく到来します。
AI化が進んで路頭に彷徨わないためにも手に職をつけることは人生のリスクヘッジに大きな意味を持ちます。
胚培養士へ転職するデメリット
- 労働時間が長くなる場合がある
- インフォームド・コンセント業務が発生する
- 不妊治療のマーケットは縮小する可能性が高い
①労働時間が長くなる場合がある
厚生労働省が公表しているデータによると2021年7月1日現在で不妊治療を行なっている医療機関は日本全国に1429施設存在しています。
この中には大学病院や県立病院などの大病院も含まれており個人クリニックが勝ち残るためには大型病院と差別化をはかる必要があります。
手っ取り早く差別化する方法が「大型病院が閉まっている時間に診療を行うこと」です。
大型病院は平日の診療は17時まで、土日祝日は休みであり働きながら不妊治療を行う女性にとっては時間的な制約が非常に厳しいです。
働きながら不妊治療を行う女性を取り込むために平日の遅い時間や土日祝日に診療を行うクリニックが数多く存在しており、そのようなクリニックに転職すると臨床検査技師より労働時間が長くなる可能性があります。
ライフワークバランスが乱れる可能性があことを念頭におく必要があります。
②インフォームド・コンセント業務が発生する
インフォームド・コンセントとは「説明」と「同意」のことで、患者さんがこれから受ける治療の概要・効果・リスクなど全ての情報を提供して理解してもらい、治療方針に対して同意を取得するまでの一連の流れのことです。
本来は主治医が患者さんに直接行うべき業務ですが、「インフォームド・コンセント業務の補助」という立場で胚培養士が治療内容を患者さんへ説明するケースがあります。
あらかじめ各クリニックで独自の資料が準備されていることが多いですが、ボリュームが厚く全てを説明し切るには1時間程度掛かることも珍しくありません。
③不妊治療のマーケットは縮小する可能性が高い
- 画像引用元:エコノミストOnline
上図は日本産婦人科学会が公表している日本の不妊治療件数の推移を表しています。
1992年から順調な右肩上がりを続けていますが2016年、2017年、2018年で治療件数は頭打ちになっています。
- 第2次ベビーブーム世代(1971年〜1974年生まれ)の女性達が43歳に達して不妊治療を終了した
- 近年「産まない」選択をする女性が増えてきた
院長先生の判断によりますが、マーケットの縮小により患者数が減少して採算が合わなくなればクリニックは閉鎖せざるを得ません。
胚培養士として生涯仕事を継続できない可能性が高いことを意味します。
胚培養士の仕事が向いている人
胚培養士のメイン業務である『胚培養』は顕微鏡を頼りにして非常に細いピンセット等の器具を用いて受精卵を扱います。
受精卵を扱う際にピンセットに少しでも変な力を加えたら反動で顕微鏡の視野から飛んでいき、最悪『紛失』の事態に陥ります。
そのため、適当・大雑把な性格の人には不向きな職種であり、一つ一つの作業を丁寧・キメ細やかに行える几帳面な人が胚培養士には向いています。
また、患者さんに治療方針を説明するインフォームドコンセントでは治療内容を正確に伝える説明スキル、患者さんの反応を見ながら適切な表現で説明する高いコミュニケーションスキルも要求されます。
胚培養士に転職する方法
- 転職サイトで求人を探す
- 転職エージェントから求人を紹介してもらう
- 直接クリニックに問い合わせる
転職サイトで求人を探す
Indeedやdodaなどの転職サイトで求人を検索する方法です。
雇用条件や業務内容が明示されているメリットがある一方で胚培養士の求人数の掲載は非常に少ないというデメリットがあります。
とはいえ、胚培養士求人を探す最も効率的な方法なのでIndeed、dodaへの登録は必須といえます。
転職エージェントから求人を紹介してもらう
自分の代わりに転職エージェントが求人を探してくれるため時間の節約ができます。
ただし、不妊クリニックが胚培養士の求人を転職エージェントに依頼することは稀です。JACリクルートメントやランスタッドなど大手転職エージェントではまず取り扱いはありません。
可能性が最も高い転職エージェントは取り扱う求人数が多いリクルートエージェントです。
直接クリニックに問い合わせる
転職したいクリニックに直接募集の有無を問い合わせる方法です。求人サイトに求人を掲載していない場合でも採用してくれるケースがあるためやる価値がある手法です。
具体的には以下の2つの方法があります。
- クリニックホームページの採用情報をみる
- クリニックの問い合わせフォームから連絡する
直接問い合わせることで院長にやる気が伝わり面接までもっていける確率は高いです。
採用されるかどうかは面接時の受け答え次第。やる気と熱意をしっかり伝えてください。
【体験談】胚培養士への転職|年収・メリデリ・将来性を解説のまとめ
本記事を要約します。
- 胚培養士の業務内容
- 培養士業務
- 検査業務
- 審査補助業務
- 想定年収レンジ
- 250〜380万円程度と臨床検査技師同水準
- 休日出勤・夜間勤務が増加すると手当が増えて400〜450万円程度は十分見込める
- 24歳男性の手取りは20万円弱
- 胚培養士に転職するメリット
- 不妊領域の知識に詳しくなる
- 臨床(患者さん)との距離が近くなる
- 手に職がつく
- 胚培養士に転職するデメリット
- 労働時間が長くなることがある
- インフォームド・コンセント業務が発生する
- 不妊治療のマーケットは縮小する可能性が高い
- 胚培養士が向いている人
- 手先が器用で几帳面な性格の人
- 人と話すのが好きな人
- 治療内容を患者さんが理解できるように説明できる人
胚培養士に転職したいという方は転職サイト・転職エージェントを利用しつつ、気になるクリニックに直接アプローチしてみることをおすすめします。