転職コラム

臨床検査技師から他職種に転職してよかったこと悪かったこと

私は臨床検査技師としてキャリアをスタートしましたが、その後さまざまな他職種を経験しました。その過程で、技師を辞めてよかったこともあれば、逆に悪かったこともありました。

この記事では、臨床検査技師から他の職種へ転職した私が実際に感じたメリットとデメリットを率直にお伝えします。

臨床検査技師からの転職を迷っている方の参考になれば幸いです。

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Sドラゴン/臨転堂管理者
臨床検査技師として病院勤務後、大手診断薬メーカーへ転職。転職経験を活かし、臨床検査技師向けキャリア情報を発信中。「臨床検査技師の可能性を広げる」がモットー。
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筆者の職歴

私は高校時代の進路相談で友人に誘われたことをきっかけに臨床検査技師を目指しました。医療職の安定性もあり、親から特に反対はありませんでした。

奈良県の専門学校を卒業後、そのまま奈良県内の総合病院に勤務しました。入職後は1年半かけて輸血・血液・生化学・微生物・心電図・一般検査をローテーションした後、生化学・免疫部門に配属されました。免疫検査を中心に、採血や検査システム(LI)の運用を兼任。学会発表や大学での研究、技師会の役員活動も積極的に行いました。

その後、胚培養士を短期間経験し、治験コーディネーター(CRC)を3年、検査機器メーカーを3年、バイオベンチャーを3年経験し、現在は検査試薬メーカーに勤務して2年目を迎えています。

臨床検査技師から転職を考えた理由

臨床検査技師を目指したきっかけは「友人に誘われたから」という軽いものであり、実際の業務にはそれほど興味を持てませんでした。また、人と接する機会が少ないことや、毎日が同じ作業の繰り返しで退屈を感じるようになりました。さらに、給料が低く将来への不安も感じていました。

ある日、学会で胚培養士の業務に触れたことをきっかけに、臨床検査技師を辞めて新しいキャリアを目指す決意をしました。

臨床検査技師を辞めて良かったこと

  1. 年収が向上したこと
    技師時代に比べて大幅に収入が増加し、経済的な安定を得ることができました。技師時代は家族を養うどころか、日々の生活も自由にものを買うことはできませんでした。貯金なんて論外でした。企業に転職した今では毎月15万円を貯金しながらでも家族を養え、マイホームも購入し、その上自分の好きなことにも我慢することなくお金を使えるようになりました。
  2. 働き方の自由度が高まったこと
    タスクが終われば早めに帰宅でき、在宅勤務も可能になりました。検査技師時代は持ち場に固定で、お昼休み以外はトイレに行くことぐらいしかできませんでした。今は、自分のタスクが終われば終業時刻前でも家に帰れる。在宅勤務で家出仕事をできる日も月に10日はあります。
  3. 夜勤や休日出勤がなくなったこと
    完全週休二日制となり、生活リズムが安定しました。技師時代は月に2〜3回は夜勤や休日出勤がありましたが、今では完全週休2日制で夜勤もありません。年に数回程度は学会参加で休日出勤がありますが、その分の手当てや代休もきっちり取得できます。
  4. 視野が広がり人間関係のストレスが軽減されたこと
    常に新しい人との交流が増え、閉鎖的な人間関係から解放されました。臨床検査技師は検査室の狭い空間でしか生きていない職種です。学会や技師会活動で横のつながりを得る技師はごく少数。狭い空間で常に同じ顔ぶれで、主導権争いも日常茶飯事。正直、とても疲れました。そんなストレスから解放されました。

臨床検査技師を辞めて悪かったこと

  1. 臨床現場から離れたこと
    直接的な臨床業務に携われなくなりました。メーカーは臨に介入することはできません。治験コーディネーターは医師や看護師との距離が近いと錯覚しますが、所詮治験のお手伝い。臨床検査技師は医療機関の一員として、臨床に介入することができます。病院勤務時代に一番したくなかったことですが、今思えば、それが臨床検査技師の醍醐味だったのかもしれません。
  2. 専門家としてのキャリア形成が難しくなったこと
    メーカー勤務では真の専門家としての地位を築きにくいです。生化学、輸血、微生物など、熱心に勉強して学会発表すれば、その道のプロ・専門家になれるチャンスがあります。他職種に転職すると、学会発表はできても、所詮メーカーの製品説明程度。オーソリティになることはできません。
  3. 夕方以降の勤務が増えたこと
    企業では医療機関の診療後の業務が増えるため、夜間勤務が発生します。特にメーカーは医療機関の診療が終了後にアポイントを取得することが多く、17時から入室して、19時に作業が終了するなんてことはよくあります。
  4. 全国転勤のリスクがあること
    家族を持つ身としては転勤リスクが大きなストレスです。手メーカーだと日本全国に支店を構えており、各支店に社員が在籍しています。人事異動で突然北海道に異動になることもあり、家族を持つ身分としては、辞令が出る季節は怯えています。

転職を成功させるポイント

給料が低い、休みが少ない、仕事がつまらない。今の環境に身を置き続ける限り、その不満が解消されることはありません。

現状に不満があるなら、環境を変えれば良いです。慎重に自己分析と情報収集を行えば、自分の希望に合った職場が必ず見つかります。

ただし、転職できる回数には限りがあります。20代だと転職回数は3回、30代だと5回が限界。それ以上は起業して個人事業主になるしかありません。

転職できる回数には上限があることを理解して、あとは限られた回数の中で、自分の希望が叶う職場を見つければ良いのです。

動かなければ状況は改善しません。転職が必ず成功する保証はありませんが、国家資格があればカムバックも可能です。挑戦することで新しい可能性が開けることを忘れないでください。

一歩踏み出すことで人生は好転します。迷わずチャレンジしてみてください。

私でよければいつでも相談に乗りますので、気軽に声をかけてくださいね。

臨転堂はあなたのキャリアが理想のものになることを心より願っています。

ABOUT ME
臨転堂
経歴:臨床検査技師→胚培養士→治験コーディネーター→アプリケーションスペシャリスト→研究開発・細胞培養→検査試薬メーカー技術員 保有資格:臨床検査技師免許 、緊急臨床検査士 、二級臨床検査士(臨床化学/免疫血清学)