臨床検査技師

【2024年最新版】臨床検査技師の将来性をデータに基づいて解説!

臨床検査技師を目指している方、臨床検査技師として働いている方にとって臨床検査業界の今後の動向は必ず把握しておくべきです。

この記事は、客観的なデータに基づいて臨床検査業界が今後どのように推移していくのかを解説しています。

結論、2050年頃までは市場拡大に伴い臨床検査技師の需要高が見込まれますが、それ以降は日本国内の体外診断薬市場はシュリンクしていく可能性が高いです。

直近で臨床検査技師になることは止めませんが、自分の子供世代にはおすすめしない方が良いかもしれませんね。

本記事が今後の参考になれば幸いです。

日本の体外診断用医薬品市場の現状

日本における体外診断用医薬品市場は、高齢化社会の進行と共に拡大しています。

出典:臨床検査薬等の売上金額|日本臨床検査薬協会

2021年、2022年は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で診断薬業界の売上高が大きく伸びました。高度な医療技術の発展と疾病の早期発見・早期治療のニーズが高まる中、IVD市場は重要性を増しています。

その他、政府の健康政策や医療制度の変化も市場動向に影響を与えています。

日本の体外診断用医薬品市場の今後の見通し

IVD市場を牽引する製品の変化

現在、感染症やがん、生活習慣病関連の検査薬が市場を牽引しており、これらの分野での技術革新が進んでいます。

将来的には、個別化医療の進展に伴い、遺伝子検査薬の需要が増加すると予測されています。また、AIやデータ解析技術の発展が、より精密で迅速な診断に貢献し、市場のさらなる成長を促進することが期待されます。

一方で、医療費抑制の圧力や規制の厳格化が市場の成長を阻害する可能性もあります。

2050年を境に検査市場はシュリンクの方向に向かう

下表は、日本の年齢別人口推移と高齢化率を表しています。

高齢化率というのは、人口に占める65歳以上の割合のことです。日本の場合、人口減少はすでに始まっているものの高齢者の絶対数は2050年頃まで横ばいと予測されており、IVD市場は2050年頃までは緩やかに成長していく見立てです。

2050年を過ぎると高齢者の絶対数の低下に伴い日本国内のIVD市場も縮小していくと予測します。

世界の体外診断用医薬品の今後の見通し

一方、世界のIVD市場では、特に発展途上国での医療アクセス向上が市場成長の大きなドライバーとなっており、2021年から2028年の予測期間に市場成長が見込まれています。

出典:Global Immuno In-Vitro Diagnostics (IVD) Market – Industry Trends and Forecast to 2028|DATA BRIDGE

Data Bridge Market Research社は、同市場は2028年までに239.7億米ドルを占め、上記予測期間のCAGRは4.78%で成長すると分析しています。

世界の高齢者人口の増加と慢性病や感染症の罹患率の増加がIVD市場の成長と需要を強化する重要なファクターです。

さらに、新興国市場での自動分析装置およびPOC機器の普及と高齢者人口の増加も、2021年から2028年のグローバルな体外診断用医薬品市場の成長を加速させる要因と考えられています。

その他、疾病診断に関する意識の高まりと大手IVDメーカーによる新しいIVD製品の開発に向けた研究開発投資の増加や微量検体・迅速検査に寄与する自動分析装置の拡大もIVD市場を成長させる要因といえるでしょう。

また、昨今の新型コロナウイルス流行のような国際的なパンデミックは、体外診断用医薬品の重要性を世界的に認識させ、一過性の市場拡大に寄与しています。

臨床検査技師を目指す方が心得ておくべきこと

AIの普及や自動分析装置の高性能化により、臨床検査技師の先行きは暗いという見立てがある一方で、これは院内における臨床検査技師のプレゼンスを高めるチャンスとも考えられます。

AIや機械が検査業務を代替する分、臨床検査技師は検査業務以外にエフォートを割けるようになります。具体的には、ERへの貢献や医局カンファレンスへの参画、NST・ICTなどのチーム医療など、検査室の外で活躍する場が広がります。それらの環境で臨床検査技に求められることは、検査結果を正確に報告する技術や細かな精度管理の知識ではなく、検査のプロとして、誰よりも検査項目に精通して医師が見落とすような細かな検査データの変化を見つけ患者様の病態管理に貢献することです。

実際、海外(アメリカ)では臨床検査技師が単なる技術を対象とした資格ではなく、よりScientificな知識を持って医師や患者さんと直接的に業務にあたる職種であることから呼び名がtechnologist -> scientistと変わっており、今ではmedical laboratory scientist (MLS)や clinical laboratory scientist (CLS)と呼ばれることが多いです。

今後、臨床検査技師として活躍を目指しているなら、Medical TechnologistではなくMedical Laboratory Scientist として検査の知識を深め、臨床に貢献していくことが重要です。

まとめ

日本および世界の体外診断用医薬品市場は、技術革新と医療ニーズの増加により、今後も成長が期待される分野です。臨床検査技師は、この急速に成長する医療分野で重要な役割を担っており、専門知識と技術の更新、患者ケアへの貢献が求められています。

検査室に閉じこもって他職種との交流や変化を嫌う傾向が強い臨床検査技師ですが、今後も医療業界で活躍するためにも、変わる時がきました。

前例踏襲で悪き慣習に目を瞑り、波風立てずに定年を迎えることは、今後の医療情勢の変化を考えると明らかに不可能です。

Sドラゴン
Sドラゴン

Medical Laboratory Scientistとして活躍するためにも、ぜひ検査に対する知識を深めてください。

それが、臨床検査技師として生き残るためのただ1つの方法だと私は考えます。

ABOUT ME
Sドラゴン
経歴:臨床検査技師(天理よろづ相談所病院)→胚培養士(不妊クリニック)→CRC(EP総合)→ASP(ロシュ)→研究開発・細胞培養(バイオベンチャー) 保有資格:臨床検査技師免許 、緊急臨床検査士 、二級臨床検査士(臨床化学/免疫血清学)