アプリケーションスペシャリストになれるのは高学歴で経験豊富な限られた臨床検査技師だけ。若年者が転職なんてできるわけがない。
この記事では、病院勤めの臨床検査技師が企業のアプリケーションスペシャリストに転職するためのコツを体験談ベースで解説します。
実際にアプリケーションスペシャリストとして務めた経験があるからこそお伝えできる情報があります。
臨床検査技師からアプリケーションスペシャリストになりたい方は、ぜひ参考にしてください。
アプリケーションスペシャリストに要求されるスキルを知る
臨床検査技師がアプリケーションスペシャリストになるには、アプリケーションスペシャリストに要求されるスキルを知っておくことが重要です。
入社前の書類選考・面接では”アプリケーションスペシャリストの適性”を判断されます。判断材料として、業務に必要なスキルを獲得できる素質があるかを見ます。
トリプルシンキング:3つの思考力
トリプルシンキングとは下記3つのを合わせた思考力の総称です。
思考力 | 説明 |
クリティカルシンキング | 「本当にこれで良いのか?」と前提を疑う思考法。前例踏襲や慣例に対して疑問を投げかけることから始まる。 |
ラテラルシンキング | 事象を多面的に捉え、自由な発想でアイデアを生み出す思考法。投げかけた疑問に対し、新たな視点で解決策を見つける。 |
ロジカルシンキング | 主張と根拠を論理的に説明する思考法。状況証拠に基づいて新たなアイデアを提案し問題解決に導く。 |
アプリケーションスペシャリストの業務の大半を占める”トラブルシューティング”は状況証拠から原因を推定する業務のため、高度な思考力が要求されます。
- 常に嘘をつく『嘘つき族』
- 常に本当のことを言う『正直族』
下記4人の中から誰が嘘つき族で誰が正直族かを当ててください。
※カンではなく順序立てて考えると答えに辿り着きます。

1つずつ推論(仮定)しながら消していくと必ず矛盾が生じます。
嘘つき族はBさんです。
Bさんが嘘をついていると仮定すると他の3名の発言に矛盾は生じません。
- Aさん:正直族(矛盾なし)
- Cさん:Bさんは嘘つき族(矛盾なし)
- Dさん:Aさんは正直族(矛盾なし)
プレゼンテーションスキル
アプリケーションスペシャリストは社内・社外問わずプレゼンテーションする機会が増えます。
- チームミーティングでの発表
- 営業への製品説明
- 顧客への製品説明
- 顧客への勉強会
なお、臨床検査技師の学会のように、文字が多いスライドを表示しながら手元のカンペを読み上げて一方的に情報を提供して終わるだけのプレゼンは0点です。聴衆の興味を惹いてプレゼンターの想いを理解してもらい、最終的に相手から「Yes」を引き出せるプレゼンが評価されるプレゼンです。
プレゼンスキルは独学での勉強や場数を踏むだけでは上達しません。適切な方法で勉強すればだれもが必ず上達できます。
プレゼンが死ぬほど苦手だった私が、職場で一番プレゼンが上手いとまで言われるようになるために読破した書籍は下記記事で紹介しているので参考にしてください。

タスク管理能力
アプリケーションスペシャリストは臨床検査技師のような働く時間と場所が固定の定型業務は少なく、担当エリアの様々な施設にアポイントを取り、訪問して業務を遂行します。
そのため、いつ、どこで、誰が、何をするかを正確に管理する能力が要求されます。
タスク管理には以下の4つがあります。
ToDo
自分の課せられたタスク全体の管理
デイリー
1日のタイムスケジュール
ウィークリー
1週間の行動スケジュール
マンスリー
月間目標
デイリー・ウィークリー・マンスリーは企業毎にスケジュール管理ツールがあります。
ToDoの管理は個人に委ねられるため、Trelloなどの無料で使えるタスク管理アプリを利用することをオススメします。
交渉・折衝スキル(コミュニケーションスキル)
アプリケーションスペシャリストは対人業務がメインのため、コミュニケーションスキルが必要です。
コミュニケーションスキルは具体的に下記の2種類に分かれます。
交渉スキル
ゴールが同じ両者が互いに納得できる答えを見つけ出す能力
折衝スキル
ゴールが異なる両者が互いに納得するために折り合い・妥協点を見つけ出す能力
雑談やプライベートの話で会話を盛り上げ顧客との関係性を構築する一般的なコミュニケーションは営業の仕事です。
アプリケーションスペシャリストは、ビジネス上のゴールに到達することを目的とした顧客とコミュニケーションが必要です。顧客の気分を損ねないように楽しく会話する能力は必要ありません。
職務経歴書の”雛形”を作成する
職務経歴書(しょくむけいれきしょ)は、当人が過去に従事した職務・職業上の地位、および当該職務の具体的内容を、当人の職歴として時系列的(編年体)またはキャリア(経験)、プロジェクトタイプなどをベースに記載した書面のことで、第三者に提示するために使用され、時として履歴書とともに(履歴書の補完的に)使用される。
出典:Wikipedia
職務経歴書は履歴書では伝えられない、あなたのこれまでのキャリアや強みをアピールする書類。転職活動には欠かせない存在です。
職務経歴書を転職活動開始前に作成すべき理由は3つあります。
自身のキャリアや強みを言語化して理解を深める
求人先・転職エージェントの興味を引いて紹介求人数のNを稼ぐ
転職エージェントの添削はあってないようなもの
転職エージェントは単語の使い方や言い回しなど最低限のレベルは修正してくれますが、あなたのことを詳しく知らないし医療業界の専門家でもないため、コンテンツのクオリティを高めてくれることは期待できません。
また、職務経歴書の内容をマイページにアップロードできる転職サイトでは、内容が充実している程、転職エージェントや企業からスカウトが多く届く傾向があります。
職務経歴書作成の鉄則
枚数は少ないほど良い
職務経歴書は枚数が多すぎると見る方は疲れますし、1番アピールしたい内容が分からなくなります。
1〜2枚以内で収まるように内容を要約しましょう。
応募先と関連性が高いことを厚く記載する
求職者はこれまでの全ての経歴を詰め込みがちですが、応募先企業と関連性の低い内容は採用担当の関心も低いため記載する必要はありません。
読みやすさを重視する
文字が詰まった読みにくい文章を見ると採用担当の読む気が失せます。
ダラダラと長文を記載することは避け、箇条書きや段落分け、見出しを作成して採用担当が読みやすくなる工夫が必要です。
職歴は最新のものから書く
直近の職歴はあなたの最新のスペックが読み取れるため採用担当が最も興味を抱く部分です。転職歴を持つ方は、職歴は新しいものから順番に記載してください。
実績は数字で具体的に記載する
実績はあなたの能力を客観的に評価できる指標ですが、抽象的で具体性がない実績は説得力に欠けます。説得力を持たせるためにも、抽象的な表現(多い・少ない・高い・低いなど)は使用を控えて、具体的な数字で記載してください。
職務経歴書の構成と書き方
職務経歴書の書き方に決まりはありませんが、型はある程度決まっています。
- 職務概要
- 職務経歴
- 資格
- 特技
- 自己PR
- 研究実績
職務概要
経験・実績⇨貴社に貢献できる、と繋げます。
職務経歴
- 期間:在籍期間
- 職務概要:担当職務のざっくりとした説明
- 業務内容:職務概要の詳細説明
- 役職・職種:在籍期間中の役職と職種
資格
- 保有資格名
- 保有資格の取得日
特技
- あなたが初心者に教えられること
- 業務内容と関連性が高く、業務効率化に繋がると採用担当に連想してもらえること
自己PR
- 募集背景に沿った自己PRをする
- あなたを採用するメリットではなくベネフィット(採用側があなたを採用して得られる効果や利益)まで訴求する
研究実績
- 研究テーマ、研究実績を具体的に記載する
- 論文投稿があるなら論文タイトル・投稿先・著者・収録雑誌の号数とページを記載する
”雛形”と表記している理由は、職務経歴書は企業毎にカスタマイズすべきだからです。
アプリケーションスペシャリストへの転職難易度はそれほど高くないとはいえ、所属はハイクラス企業。採用担当者は非常に目が肥えているため、職務経歴書を使い回して採用されるほど審査は甘くありません。
ハイクラス転職エージェントに登録する
転職エージェントには下記の2種類があります。
メリット | デメリット | |
ミドルクラス |
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ハイクラス |
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※横にスクロールできます。
ミドルクラス転職エージェントは薄利多売。年収が低い求人を多くの求職者にバラまくため提案数こそ多いですがサポートの質はイマイチです。
対して、ハイクラス転職エージェントは高利商売。高年収の求人を限られた人材だけに紹介するためサポートの質はミドルクラスと比にならないほど高いです。
アプリケーションスペシャリスト求人は年収が最低でも500万円とかなりの高年収であり、ハイクラス転職エージェントが必ず扱っています。
なお、ハイクラス転職エージェントは求職者ひとり一人に手厚いサポートを提供してくれる一方で、一球入魂スタイルのため提案数(紹介求人数)が少ないというデメリットがあります。
19〜20社に応募するには1つの転職サイトでは達成困難です。既に転職サイトに登録されている方でも、できるだけ複数の転職サイトを同時平行で利用してください。
臨床検査技師からアプリケーションスペシャリストへの転職にオススメの転職サイトは下記記事で解説しているので参考にしてください。
https://rinten-sup.com/5-recommended-recruitment-agents-for-clinical-laboratory-technicians/
職務経歴書(雛形)を企業分析結果でカスタマイズする
一生懸命時間を割いて作成した職務経歴書でも既視感が強ければ中身は熟読されません。
採用担当の興味を惹いて職務経歴書を熟読してもらうには”インパクト”が欠かせません。
とはいえ、インパクトはマイナス効果に繋がる可能性もあるため、記載内容は慎重に精査すべき。
このセッションでは、採用担当にインパクトを与える具体的な職務経歴書の書き方を記載項目ごとに解説します。
企業分析を行い企業が求める人材像を把握する
職務経歴書で採用担当にインパクトを与えるには、企業が求める人材像を正確に把握した上でのプラスアルファが必要です。
入手する情報量が多いほど採用担当者に刺さる職務経歴書を作成できます。
企業分析結果で職務経歴書(雛形)をカスタマイズする
あらかじめ作成しておいた職務経歴書の雛形に企業分析で収集した情報を散りばめて応募企業専用にカスタマイズしていきます。
職務概要
即戦力+αになり得ることを訴求します。
- 上記②で収集した業務内容情報を参照して、職歴から最も関連性が高いものをピックアップします。
- ピックアップした職歴の経験・実績を数字で具体的に提示して、入社後に即戦力となることをアピールします。
- 上記②で収集した『社員インタビュー記事』から入社後に想定される課題を発掘し、自身の能力が課題解決に貢献できることを訴求する。
職務経歴
今後の展望・業務内容と関連性が高い職歴を厚く、他を薄く記載する
- 上記②で収集した業務内容情報を参照して、最も関連性が高い職歴をディテールまで記載して即戦力になることを客観的に示す。
- 上記①で収集した今後の展望と関連性が高いスキル・経験を記載して、育成コストが低いことを暗に訴求する。
資格
- 業務と無関係の趣味レベルの資格は省略する
特技
- あなたが初心者に教えられること
- 業務内容と関連性が高く、業務効率化に繋がると採用担当に連想してもらえること
自己PR
- あなたを採用するベネフィットを上記③で収集した最近の取組事例や会社の方向性と関連づける
- 現場の社員(入社後の同僚・上司)が必要としている人材像であることをアピールする
研究実績
- 研究テーマ、研究実績を具体的に記載する
- 論文投稿があるなら論文タイトル・投稿先・著者・収録雑誌の号数とページを記載する
このレベルまで情報収取して職務経歴書に反映できる臨床検査技師は圧倒的少数のため、書類選考が通過できる可能性は極めて高いです。
面接対策
面接で遵守すべき基本ルール
質問にはPREP法を使い結論ファーストで答える
結論(Point)⇨理由(Reason)⇨具体例(Example)⇨結論(Point)の流れで話すことで、説得力が高く端的に回答できます。
回答は必要最小限にとどめる
勝手に余談・脱線しないこと。必要最小限とはPREP法の内容。
思考中は沈黙する
「えっと」「あの」「えー」を極力控えること。場繋ぎ表現を嫌う社会人は多い。思考中に沈黙することでメリハリある回答になる。
回答時間は45秒を意識する
長時間のスピーチは考えがまとまっていない証拠。着地点を見失うことで迷子になり、面接官からの評価が下がる。
分からない事は分からないと正直に答える
答えが明確に存在する質問を知ったかぶりすると確実に見抜かれます。「勉強不足で存じ上げません」と素直に回答する方が好印象になる。
一方、答えが明確に存在しない質問に回答できないと「持論がない」と低評価に繋がるので必ず回答すること。
実際にされた面接次の質問集
- 他社比較
- 前職での成功体験を教えてください
- 前職での失敗体験談を教えてください
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